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『人生後半戦、これでいいの』を読む。

本日の読書感想文は、萩本欽一『人生後半戦、これでいいの』です。

買うことを即決した一冊

書店で出会い、題名を見て即決で買いました。今の自分には必要な本だと直感しましたので、迷いはありませんでした。私の予感は正しく、期待通りとても力を貰える内容でした。読後感が大変良い本でした。

著者の萩本欽一さんは、日本を代表するコメディアンです。“欽ちゃん“の本は以前からもよく読んでいて、『ダメな時ほど運はたまる』『続ダメな時ほど運はたまる』には力を貰って来ました。

テレビで見せる、明るくひょうきんな印象とは裏腹に、人と同じことをするのが大嫌い、番組作りでは一切の妥協は許さないという頑固で気難しいところもある人です。世間の常識には囚われず、自分の感性や粋な感覚を大切にする人だという気がしています。側近になると、色々苦労するのかもしれません。

妥協は悲しいだけ

この本は全部で5章に分かれていて、第1章が大舞台からの引退を決めた2014年3月30日の最後の舞台についての裏話風になっています。妥協は悲しいだけというくだりがしっくりきました。

舞台をやめることを止める周囲の声に対して、70点の笑いで満足するというのは笑いを偽装しているのと一緒と言い、「やめなきゃ次のことを考えられないよ」と思っていたとあります。そして、やめることを恋愛に例えて以下の通り説明してくれていて、すごくしっくりきました。

恋愛もそうでしょ。みんな、次の人をキープしてやめるわけじゃないよね。相手に対する気持ちが冷めたり、相手の気持ちが離れていると感じたら、ぴしっとやめて、それから新しい気持ちで次の相手を探すっていうのがいいじゃない。ひとつのことをやめるってことは、次に何かが待っているということ。だから、本当は悲しいことでも淋しいことでもないと思う。

P39

奥が深い仕事術

萩本さんは同時期に持っていたテレビのレギュラー番組3本の視聴率が全て30%を超えていたという驚異的な記録を持つ人です。45歳でテレビの仕事を辞めた後も、野球チームの監督をやったり、大学に入ったり、周囲の人が驚く挑戦を色々重ねながら、常に結果を出し続けてきた優秀な仕事人でもあります。

第3章は萩本さんの仕事術というか、哲学を語っている章です。はっとさせられる言葉が並びます。仕事が好きな方なんですね。

● 忙しい時には仕事を倍にした方がいい(P82)
● 一分でも無駄にしない、ぎりぎりまで考えたということに価値がある(P90)
● 仕事って、どの仕事も一緒だと思うけど、今やっている仕事の“先”を考えること(P91)
● 仕事のおもしろさは、挑戦することだと思っています。その仕事の内容じゃない。だから仕事をやめるとしたら、ここではもう挑戦できないな、挑戦する余地がないな、という時(P92)
● 仕事をしていて苦しいと感じるなら、それは未熟だからだ(P93)
● “遠くする”ことで、何もないところに物語が生まれて、その物語が豊かになってくる(P98)
● 仕事は自分の都合じゃなくて、相手の都合でしなきゃいけない(P102)  

あと、人生を語っている第4章の、自分の子供に言っているというこの言葉もいいですね。

好きな仕事は最初にしちゃいけない。そこで失敗すると、次に何をしていいかわからなくなるから。でも嫌いな仕事が好きになれたら、好きな仕事は相当頑張れる。だから最初は嫌いな仕事をやるといいよ

P152

自分を心配してくれる人

そして最終章では、自分を心配してくれる人を作ることも大切だと言われています。これは、どきっとします。人生の後半戦の教科書になるものであり、物凄く深いものを教わった気がします。

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