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『会社を50代で辞めて勝つ!』を読む

出張でマレーシアの首都、クアラルンプールに来ています。朝の通勤電車と機内で読了したのが、本日ご紹介する髙田敦史『会社を50代で辞めて勝つ!』です。

著者は、2016年にトヨタ自動車のレクサスブランドマネジメント部長の職を54歳で辞して、フリーランスに転身された方です。現在は専門のマーケティング分野の知識を活かして、ブランディング戦略などのコンサルタント活動を中心にマルチに活躍されています。

エリートサラリーマンだった人が、自分の意志を尊重した結果、会社に残って『終わった人』になることをよしとせず、自分を恃んで独立する物語には大いに興味をそそられ、外出途中に立ち寄った書店で衝動買いしました。海外出張の機内でまとまった時間が取れることもわかっていたので、私にとってはまさに手に取るべき運命の書だったのかもしれません。

著者のように、日本企業の最高峰であるトヨタ自動車で確固たる実績を残された方と自分のような冴えない会社員とを比較するのは、はなから無理があります。しかしながら、書かれている内容にはたいへん腹落ちする部分が多く、購入した時の期待以上の刺激を受けました。例えば、以下に引用させていただいた部分です。

・『君から会社の看板をとったら、たいした価値はない』生意気だった私への教育的指導の意味があったとしても、なめてもらっては困る!サラリーマンにも五分の魂がある。与えられた場所で一生懸命仕事をしてきただけでなく、自分なりに勉強もしてきた。また、会社の枠を超えた人脈もある。(P13)
・私たち50代の人間は華々しい成功よりも「自分らしい生き方」を目標に据えた方がいい。(P174)
・楽観主義でいける背景を私たち50代のフリーランスは持っている。退職金をもらい、厚生年金もそれなりにあてにできる。国民年金しかない自営業の方々や住宅ローンを抱えながら起業する勇敢な若者に比べると、一定の安全圏の中にいるからだ。(P184)

そして、平成時代をサラリーマンとして過ごしたものの、基本的には先輩達の築いてきた伝統の上に、更に革新的な変化をもたらすことまでは出来ず、私達世代が平成の停滞の責任の一端を担っている、という趣旨のことも述べられていて、とても共感しました。私にも力不足を恥じる部分があります。

結局の所、移り変わる社会で制度疲労を起こしている肝のところが変えられておらず、対症療法的な小幅な変革しか出来ていないのではないか? そういうリスクを取らない仕事しかして来なかったのではないか? という反省は自分にもあります。

この本は、私のこれからの生き方の指針として非常に重要だと思っています。このタイミングで、この本に出会えたことに感謝したい。本書の内容通りとはいきませんが、大いに参考にしたい情報が盛り込まれていてありがたいです。

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