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Markover 50 の読んだ本

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Markover 50の読んできた本の読書感想文を収めています。
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2020年11月の記事一覧

『雨の日には車をみがいて』を読む

本日のnoteは、久々に再読した五木寛之『雨の日には車をみがいて』の読書感想文です。 五木寛之の傑作短編集五木寛之氏の作品は、私が読書生活に入った頃から愛読しています。紡がれていくことばの流れがよく、すっと心の深い所まで入ってきます。 この短編集は、氏の数多い作品の中でも一番思い出深い作品です。セールス的にもかなり成功した作品です。この本の編集には後に幻冬舎を立ち上げる見城徹氏が関わっています。 私は1990年発売の角川文庫版を買って、当時住んでいた下宿で一気に読み切り

『独裁の世界史』を読む

本日の読書感想文は、本村凌二『独裁の世界史』(NHK出版新書2020)です。最近『独裁者』『独裁政権』に興味を持ち、理解を深めたいと感じていたので、タイトルに惹かれて衝動買いしました。 政治形態の理解を深めるのに最適な本著者の本村凌二氏は東京大学名誉教授(文学博士)。本書は2020年11月に出たばかりの最新刊で、教養動画メディア『テンミニッツTV』で講義された内容をベースに書籍化されたものです。 本書には「独裁者が消えないのは、なぜだ?」と書かれた赤色の目立つ帯が巻かれて

『東京百景』を読む

本日の読書感想文は、又吉直樹『東京百景』(角川文庫)です。 オンリーワンの芸人、又吉直樹又吉直樹氏(1980/6/2-)は、芸人・読書家・著述家として知られ、処女小説の『火花』で芥川賞を受賞しています。その後に出した『劇場』『人間』もヒットし、今ではお笑いの仕事よりも小説家・文化人としての活動の方が目立っています。 私の又吉さんのイメージは、『唯一無二のオンリーワン芸人』です。NSC東京5期の同期である綾部祐二さんと2003年に結成したお笑いコンビ、ピースでは、2010年

秋の葉山を歩いてみた

思い立ったので即行動昨日、「金曜日の随筆」を書き上げた後、清野由美『住む場所を選べば、生き方が変わる 葉山からはじまるシフトチェンジ』を読み始めたら、無性に葉山を歩いてみたくなりました。そのまま本を持って電車に乗り、葉山の町中を実際に歩くことにしました。 前日にちょっと飲み過ぎたせいか、朝は身体が重くて家でダラダラしていました。将来のことをあれこれ考えていると、気持ちが塞いできます。自分らしく生きる為のヒントと可能性を葉山に求めて、家を飛び出しました。 鎌倉~葉山 歩くと

『大阪から日本は変わる』を読む

本日の読書感想文は、吉村洋文・松井一郎・上山信一『大阪から日本は変わる』(朝日新書2020)です。 『大阪都構想』=大阪再生物語の悲願2020年11月1日「大阪都構想」の賛否を問う住民投票が行われ、賛成 675,829、反対 692,996(投票率 62.35%)で否決されました。 私は、分類的には関西人ですが、大阪の歴史や生活に詳しくありませんから、部外者です。関西に愛着と親近感はありますが、地域に愛と誇りを注いできた訳でもありません。「大阪都構想」について知識も、過去

『変われ! 東京』を読む

本日は、隈研吾・清野由美『変われ! 東京 ~自由で、ゆるくて、閉じない都市』の読書感想文です。 隈研吾氏との初遭遇隈研吾氏は、世界中にその名を知られる建築家です。著書も多数あります。私も名前こそ知っていましたが、これまでに氏の考え方や建築理論には触れたことがなく、本書がファーストタッチのようなものでした。 隈氏は、建築学界でも産業界でも巨匠的立ち位置の大物です。ただ、本書を読むと、非常に現代的な感覚の持ち主で、気さくな人柄の人なのだという感想を持ちました。 権威的なもの