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草野球チームに現役バリバリの大リーガー選手は入らない

たくさんの採用媒体がひしめき合って、企業に対して良い人材を獲得する方法を提案している。
その提案の多くが行きつくところは、求職者をトランス状態にして採用してしまうことを誘導するものではないだろうか...。

その点、知名度の高い有名企業は求職者をトランス状態にして集める必要はない。逆に多く集まりすぎてくる求職者を振るい落として、欲しい人材を見つけ出す作業が主となる。

入社の入口で求職者をどうトランス状態にしようとも、時間が経てば社員は目が覚めて冷静になる。入社時も重要だが、うまく入社させられれば終わりというわけではない。優秀な人材が満足できるように多方面での労働環境を提供し続けなければならなく、マネジメントもたいへんだ。
(当社でも過去にどれだけ多くの人材が大手有名企業に転職していったことか...)

なので、優秀な人材をどうやって獲得するかではなく、いっそ、優秀な人材は自社に入って来ないと考えるのが当たり前だという前提に立って、組織作りをするのはどうだろうか?

優秀な人材がいなくても、十分に成長していける組織を、社内だけではなく社外のリソースも利用して作り上げていくというのが自然な考え方ではないだろうか...。能力的に優秀でなければならないという前提が外せれば、チーム作りは格段に容易になる。

これからの時代、テレワークや副業自由、フリーランサー、BPOなどが広がり、チームや事業構築は「ハリウッド映画製作型」になっていく。つまり、その都度、必要な能力者を集めて事業は構築していけばよく、常に一緒にいる人たちだけで作りあげる必要はない。

経営陣は事業を考え、いかに優秀な人材が不十分でも、その事業がうまく回って成長していくように構築していくことに取り組んでいくのが良いと思う。

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自分は、能力の高い人材を採用することまではできたが、彼らが満足して働き続ける環境(報酬も含めて)を提供し続けることができなかった。そりゃ強いビジネスモデルや高い参入障壁の中で莫大な利益を上げられる環境にいる大企業より、素晴らしい労働環境を提供し続けることなんか無理に決まっていた。米国Google あたりよりも満足できる環境を提供し続けられる企業はわずかだろう...。

中小企業は、社長のことが好きで会社のことが大切だと言う、心が通い合う数人の仲間と、それをサポートしてくれる内外のメンバーという構成が一番しっくりくるのではないだろうか。当社では時間を要しながらこの状態に近づいている。

家族や恋愛に正解の形が無いように、会社組織にも正解の形は無い。しかし自分は、無理の無い、ナチュラルな経営スタイルが好みで、自分の思うように左や右に操縦できる小型ヨット経営が好み。

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草野球チームには現役バリバリの大リーガー選手は入らない、と考えるようになったら、採用での苦労は無くなった。

優秀な人材は努力すれば獲れるとか、社員は会社を第一に考えるべきだとか、社員にあれこれしてあげたから感謝すべきだろうとか、常に一生懸命に働くべきだとか、会社は家族同様であるべきだとか...

これらの無理を努力で越えようとすることは悪くないが、
優秀な人材は努力しても獲れないもので、社員には会社よりも大切なことがあるのは当然で、社員にあれやこれやをしてあげるのは自分の満足を満たすためにやっていて、自分を含めて常に一生懸命に働くことは、そうしたい意思はあるけど難しく、会社というのは自分の命を投げ打ってまで守る家族ではない、と考えると、すごい自然で気持ちが楽になる。

いままで「草野球チームには現役バリバリの大リーガー選手は入らない」と言ったが、必ずしもそうではないケースもある。たとえば、日本で活躍する優秀なプロ野球選手は、大リーグ選手となってアメリカで野球をすることに憧れる。その大リーグチームが弱くても、満足できる待遇が無くても、喜んで移籍をする。この心理は正しい。同様に、新興国の優秀な人材は先進国の環境で働くことに憧れてくれる。
日本はこの心理をうまく使って、優秀な人材は有利な条件で新興国から仕入れる。これは草野球チームが優秀な人材を採用できる一つの手段である。蛇足ではあるが...。

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