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自分でも計算できる?路線価方式による土地の評価方法(その2)・税理士がつぶやく相続の基本

前回は、路線価と倍率方式についてご紹介しましたが、今回から「路線価」を使った土地の評価方法をの基本的な部分をご紹介していこうと思います。
全部、紹介しようと思うと長いので(その1)(その2)と分けてみました。
今回は、(その2)二つ以上の路線(道路)に面した土地の評価方法の基本的な計算方法をご紹介します。

なお、路線価によって評価できる土地は、「市街地的形態を形成する地域にある宅地」に限られ、それ以外の宅地は倍率方式、宅地以外にはそれぞれ評価方法が存在します。

前々回の記事

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基本的な土地の情報を調べる

前回記事でも書きましたがここは、変わらないので一応載せておきます。

路線価を調べる

前回の記事でも書きましたが、路線価は下記のwebサイト「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で住所から検索し、路線価が書かれた地図から調べることができます。
路線価の見方も前回の記事で書きましたが、前半の数字が千円単位で土地1㎡の価格、末尾のアルファベットは、借地権割合になります。

記号で地区を把握する

上記のサイトで対象の土地がある地図を表示すると左上に下記のような「記号」が書かれています。
この記号は、その路線(道路)がどんな「地区」にあるかを示しています。
この「地区」によって、後ほど出てくる補正率が変わりますので把握しておきましょう。

地積を調べる

地積とは土地の面積を指します。
国税庁の通達では「地積は、課税時期における実際の面積による。」とされていますが相続税の申告時に必ず測量しなおさなければいけないわけでは、ありません。

地積は固定資産税の課税証明書で確認できます。
登記地積と現況地積が記載されていますが、現況地積の方を参考にします。

現況地積がわからない場合、登記地積や固定資産税の対象となる課税地積を参考にしますが、登記地積も課税地積も実際に利用している面積と明らかに異なる場合があるのでその場合は、計測しなおす必要があります。

二つの路線に面している場合

二つの路線(道路)に面した土地の評価をする場合、一つの路線(道路)に面している土地に比べ利用価値が高いため加算補正をします。
ここでは、「正面と側面に路線がある場合」と「正面と裏面に路線がある場合」を紹介します。

正面と側面に路線(道路)がある場合

路線(道路)が正面と側面にある土地の場合は、「側方路線影響加算率」を使います。

土地評価額 = (正面路線価 + 側方路線価 × 側方路線影響加算率) × 地積(㎡)

二つの路線(道路)に面した土地の評価をする場合、「正面路線価」と「側方路線価」を求めます。
まず二つの路線それぞれに
【$${\scriptsize{路線価} × \scriptsize{奥行価格補正率}}$$】
を求めて高かった方を「正面路線価」とします。

側面路線価影響加算率

角地と準角地

「側方路線影響加算率」は、2種類あり角地か準角地によって0.01から0.10までの範囲で定められています。

  • 角地
    交差した道路の角にある場合こちらの「角地」になります。交差点や十字路の角の土地を指します。

  • 準角地
    「角地」と違い交差していない道路の角の土地を指します。L字の道の内側や、曲がり角などを指します。

正面と裏面に路線がある場合

土地評価額 = (正面路線価 + 側面路線価 × 二方路線影響加算率) × 地積(㎡)

二方路線影響加算率

正面と裏面に路線(道路)がある場合は、正面と側面に路線(道路)がある場合と同じようにまずそれぞれの【$${\scriptsize{路線価} × \scriptsize{奥行価格補正率}}$$】から「正面路線価」になる路線を決めます。
路線価の代わりに「二方路線影響加算率」をかけます。


二つ以上の路線に面している場合

3方や4方に路線(道路)がある土地の場合上記の加算率2つを利用して求めます。

3方の道路に面している場合

1.正面路線価 × 奥行価格補正率
2.側方路線価 × 奥行価格補正率 × 側方路線価影響加算率
3.裏面路線価 × 奥行価格補正率 × 二方路線影響加算率
4.(1 + 2 + 3 ) × 地積(㎡)

4方の道路に面している場合

1.正面路線価 × 奥行価格補正率
2.側方路線価 × 奥行価格補正率 × 側方路線価影響加算率
3.裏面路線価 × 奥行価格補正率 × 二方路線影響加算率
4.側方路線価 × 奥行価格補正率 × 側方路線価影響加算率
5.(1 + 2 + 3 + 4 ) × 地積(㎡)

注意点

相続税対策等によって路線価での土地の評価が著しく低くなるどした場合、不当な評価として「追徴課税」される事例が存在します。

国税庁が公表している「財産評価基本通達」にも「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」とあります。

実際に裁判の判決による「路線価に基づく相続財産の評価は不適切」という判決があります。

終わり

前回に続き、路線価による評価方法をご紹介しました。
あたりまえですが、土地が面している道路の数だけ評価も複雑になります。
また、前回も書きましたが土地の形や状況によって評価を補正しなくてはいけないのでなかなかご自分で申告できる評価を出すのは、大変かと思います。
ご不安な際は、ぜひ当税理士事務所へご相談ください!

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