見出し画像

#6 「個人的スポーツの名場面」

スポーツは多くの感動ストーリーを生み出してきた。
どのシーンを名場面と感じるかは人それぞれだと思うが、私にはどうしても他人に語りたくなってしまうスポーツの超名場面が二つある。今回はこの個人的名場面を記したい。

二つの名場面に共通する特徴は、「『勝った負けた』の先にある感動」である。

名場面① : 森本稀哲選手の引退試合

一つ目は2015年の9月にあった、西武ライオンズの森本稀哲選手の引退試合である。

ご存知の方も多いと思うが文章力の向上も兼ねて説明する。
森本稀哲選手は引退試合となるこの試合で8回表の守備から出場した。8回表を終わって試合は西武ライオンズの4点リードだったため、次の8回裏が最後の攻撃回になる可能性が高かった。ところがこの回の先頭は1番からだったのに対し、森本選手が入ったのは7番。つまり少なくとも4人は出塁しないと森本選手まで打席が回って来ないという厳しい状況だった。

しかし、2本のヒットと1つの死球(とメヒア選手によるゲッツー崩れの大激走)で6番栗山選手までまわり、球場の期待が高まる。そして栗山選手もフルカウントから粘った末に四球を選び、見事に森本選手まで打席を回すことが出来たのだ。四球の瞬間、森本選手と全国の野球ファンは涙をこらえきれなかった。

名場面② : 浅田真央選手による、ソチオリンピックの女子フリーの演技

2014年に行われたソチオリンピックの名場面中の名場面といえば、浅田真央選手の女子フリーの演技だろう。

その4年前のバンクーバーオリンピックでは銀メダルを獲得していた浅田真央選手には、ソチオリンピックでの金メダルの期待が寄せられていた。そんな中で行われたショートプログラムの演技で、浅田選手はジャンプの失敗が相次ぎ16位に沈んでしまい、金メダルが絶望的な状況になってしまう。
ところが続くフリープログラムの演技でドラマが待っている。気持ちのこもった滑りを披露しジャンプも次々に着氷。見事な演技で世界中を感動の渦に巻き込んだのだ。

勝ち負けの先にある感動

この二つのスポーツ名場面は、スポーツの「勝った負けた」とは直接関係する場面ではない。森本選手の打席の結果は凡退だったし、浅田選手の最終順位は6位だった(フリーのジャンプも回転不足等の減点となったものもある)。
それでも多くの人の感動を呼び、記憶に残る名場面となった。つまり人々が心を打たれたのは勝ち負けではなく、その先にあるストーリーである。

もっと堅く言えば、
「スポーツという勝負を軸とした枠組みの中で繰り広げられたストーリー」が感動を呼んだ。勝敗を決める、という制限・不自由さのある形式の中で生まれたエピソードだからこそ、ここまでの感動を呼ぶという側面もある。
この二つのエピソードは、小説を超えるかのような、誰にも想像できなかったノンフィクションの代表だ。「現実は小説より奇なり(良い意味で)」である。

最後に

今回は二つの個人的スポーツ超名場面を紹介しました。
もちろん私自身も勝った負けたという事実に一喜一憂することは多いですが、やはりずっと心に残り続けるのは、勝敗を超えた感動ストーリーですね。浅田選手の演技を見てから、ラフマニノフの2番が大好きになりました。

ちなみに最近スポーツで感動したのは、2021年の箱根駅伝の復路で、2位の創価大学のゴールの直前で、実況のアナウンサーが「2位で悔しいと思えるチームになった」という名言を放ったときです。アナウンサーってまじすごいですね。


最後までお読みいただきありがとうございました。
毎日投稿に挑戦しています。2021年3月のみ、30本限定投稿という少し変わったやり方だと思いますが、その代わり密度の濃い記事を提供出来たらと思っています。

Next→#7 「」
ってやるのが習慣でしたが、ストックが切れたピンチ!毎日投稿の危機到来です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?