見出し画像

海外で働く日本人から見る日本人観光客~店員さんに冷たくされたと感じた時に考えてほしいこと~

YouTubeなどで旅行・海外生活系の動画を見ていると、差別された、というテーマの投稿がよくある。通りすがりの見知らぬ人から罵声を浴びせられたとか、日本人だから簡単にやれると思われてナンパされたとか、種類は様々ある。その中で「店員さんに冷たくあしらわれた」系の体験をされた方に対して、ニュージーランドで接客をする私は思うことがある。あくまで私の主観的な考えなので、そんな意見もあるのねと、お茶でも飲みながら軽く読んでいただきたい。


ニュージーランドでは、お店に入ると「いらっしゃいませ」の代わりに、"Hi, how are you?"と店員さんに挨拶される。私がかつて勤めていた日本食チェーン店は街の中心のショッピングモールのフードコート内にあり、観光客は毎日見かけた。ニュージーランドは日本人にも人気の国なので頻繁に遭遇した。私は店の前でメニューを眺めている人には必ず"Hi, how are you?"と声をかけていた。そこで、全員ではないが大多数の日本人観光客の共通点に気付いたのである。


日本人は店員さんに挨拶しない人が多い

そう。日本人観光客に"Hi, how are you?" とか"Hello!"とか声をかけても、返事がないのである。目を合わせてくれない人もかなり多い。大抵のお客さんは"I'm good, thanks."とか"Just looking.(見てるだけです)"と返してくれたり、何も言わなくても微笑みを返してくれるのが当たり前になっている普段の接客の中で、日本人観光客の無反応がものすごく無礼に見えるのだ。メニューを見ながら考える様子の人が多いので、こちらが"Can I help you?"などと更に声を掛けても、反応がないこともよくあった。なんか感じ悪い人達だなと思っていると、同伴の方と日本語で会話しているのが聞こえてきて、がっかりするのであった。昔、日本でフランス語をフランス人の先生に習っていた時に、「フランスでは店員さんに必ず"Bonjour"と挨拶すること。じゃないと、失礼な人とみなされて店員さんから良い扱いを受けないよ」と先生がおっしゃっていた。わかる。店員さんの感じる、その不快感。無礼な客に、親切な接客なんてしようと思わない。無礼には無礼を、という心境になる。


一時帰国で認識する、日本人の習慣

日本でお店へ入ると、「いらっしゃいませ!」と声を掛けられるのが当たり前。でも、あなたはその声掛けに返事をしているだろうか?「どうも」と軽く答えたり、会釈したり、微笑み返しをしてくれる人もいるが、すーっと店員さんの前を通過する人がかなり多い。日本で接客をしていた経験もあるので言えることだが、私は日本で接客中に「いらっしゃいませ」に対する返事を期待していなかった。返事がほとんど返ってこない方が、当たり前だったのだ。なるほど、フランス人の先生が注意をする訳だ。


日本で外国人観光客に見られる方法

この文化の違いを逆手にとって、役には立たないが試してみてほしいことがひとつ。「いらっしゃいませ」に返事をすると外国人扱いされるかも、という暇つぶしである。京都などの外国人が押し寄せる観光地が成功率が高い気がしている。数年前に京都のお土産屋さんに入店した際、店員のおばちゃんの「いらっしゃいませ」に対して、「こんにちは」と挨拶を返したら、「どちらのお国ですか?」と尋ねられたのである。一緒にいた姉が笑いを堪えていた。店を出た後、「普通なんにも言わないよ」と姉に言われてしまった。もし一度試してみて手応えがなかったら、若干片言で言ってみるとか、服装を少々外国寄りにしてみると良いかもしれない。試された方の報告をお待ちしている。


失礼な店員が皆、人種差別をしている訳ではない

ニュージーランドで学校に通っていた頃に、同じ教室に居合わせた白人のニュージーランド人の女の子が友達に愚痴をこぼしていた。彼女が若い年代に人気のブランドの服屋さんに行ったら、他にお客さんは誰も居ない中、店員さんは挨拶をしないだけでなく、ずっとノートパソコンを見ていたのだそうだ。ひどくない?!と彼女は憤慨していた。同じような話を、他の白人の友達もしていた。白人同士でそれが起こっているのである。ただの接客マナーのない店員、ということである。


良い接客を受けるコツ

先手必勝。自分から感じよく店員さんに挨拶、笑顔、つたない英語でも明るく振る舞う。こちらで接客をしていて感じるのが、色んな人種が居過ぎて正直誰がなに人とかどうでも良いから、人として感じが良い人には感じよく接客したくなる、という感覚。日本と違って、常に笑顔で接客をすることを強いられないニュージーランド。笑顔で接客しなくてもクレームなんてこない。そんな環境なので、良い印象のお客さんには良く対応し、感じの悪いお客さんに対しては省エネモードになる。ごくたまに万人に対してノリノリで接客する店員さんもいる。愛想の悪い店員さんに遭遇したとしても、たまたまその人が具合が悪いのを我慢して仕事しているだけかもしれない、それとも、同僚に嫌なことを言われたのかもしれない。必ずしも、「対応が冷たい=人種差別されてる」とは限らないので、気にする必要はない。

楽しい海外旅行を!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?