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読書日記*ふたりのきりこ

偶然にも『きりこさん』が主人公の本を2冊読んだ。
ふたりとも自分の人生を生きようともがいていた。
簡単だけど感想文。

『3千円の使いかた』の著者が贈る終活応援小説、と帯に書いてあるこの本は、ブックカフェに置いてあって思わず買ってしまった。
老親を介護して気がつけば結婚もせず76歳。老後の不安を解消するために桐子が選んだのは、「刑務所に入ること」だった。
パートナーである親友を亡くし、ひとりで生きていくこと。パートナーといえど他人という壁に慄き傷つき、その末に向かう先が刑務所。
お金の不安、生きていく苦悩、人との関わり、生活保護や身分証明のこと。日本という国は生きやすい国だと思うが、身分を証明する何かがないと冷たい国なのだろうか。
桐子さんは刑務所に行くための行動をして、家や仕事(お金)を失いそうになる。人は、だれかのために生きていくのがしあわせなことなのかもしれない。だけど、じぶんのためにできることはなんだろうと考えた1冊でした。

きりこはぶすである。

「うちは容れ物も、中身も込みで、うち、なんやな」
「今まで、うちが経験してきたうちの人生すべてで、うち、なんやな!」

それでこそ、わが、きりこだ!
思った。
それでこそ、わが、きりこだ!!
私は、そう、思った。

P194『きりこについて』

きりこはぶすである。何回も言うのは実際に何回も、きりこはぶすであると書いてあるからだけど、きりこはかわいいのだ。美しいのだ。
そう思ってるのはきりこをはじめとする、ラムセス2世やマァマやパァパや登場人物がみな、きりこに惹かれていくのを見ていてわかる。
でも世界の基準に翻弄されるきりこ。
ちせちゃんもこうたくんもおぼんさんも元田さんもともひこくんもゆうだいくんも押谷さんもすずこちゃんもノエミちゃんもみさちゃんもさえちゃんも、みんなきりこに惹かれてる。
自己肯定感なんて言葉じゃ表せないじぶんを認めるってことを教えてくれたきりこ。ありがとう。読み終わったとき涙がこぼれていた。
何回も言う。きりこありがとう。






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