ひきこもり日記*カウンセラーはどんな話しをしているの?聞いてるだけ?
その日の彼女の声は、少しだけ、ちゃんと心があった。一言目でそのときの彼女の気分が、わかるようになってしまったわたしは、HSPでよかったかもと、少し自分のことを認めてあげた。
「死にたい」と電話をしてきてから10日ほどたった。1日何度も彼女の声を聞く。引きずられて正直、しんどいときもあった。話をしているうちに、あきらめに似た感情がわいてくる。わたしがここで心配しても、彼女は「やるときはやる」のだろう。薬の副作用で朦朧としているときは、本人もよくわからない状態らしい。住所を聞き出せたから、安否確認などはできる。あとは、少しづつでいいから、「食べて」と言い続ける。
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「わたしはじぶんの言いたいことを言うよ。それはあなたもそうでしょう?死にたいって、言いたいから言うんでしょう?」
「わたしもじぶんの言いたいことを言う。それはわたしの自由。わたしはあなたの話も聞いているし、お互いさまだよね。」
「わたしの時間をいかして。こうやってあなたと話ができるのは、うれしいことだよ。いま生きてるあなたと話してる時間は、もう2度と戻ってこない。だからわたしはいま、うれしいし楽しいよ。いま、わたしもあなたも同じ時間を生きている。貴重な体験だもん。感謝するよ。いつも生存報告ありがとう。」
「あなたはいつも過去の話を、ほじくり返していまを生きてる。わたしもあなたの話は聞くよ。だけどいま生きてるわたしたちは、未来からいまをつくってもいいんじゃない?」
「わかんない?あなたに会いに行くことや、ふわふわオムレツのつくりかたの話をするのが、未来からいまをつくること。」
「いまは戻ってこないからこそ、いま、できる話をしようよ。ああ、うざい?ははは、ごめんねー。だっていつも死にたいって聞かされる側からしたら、わたしだって主張させろって思うよー。」
「だって楽しくないもん。そう思わない?死にたいって言うの楽しくないよね。口癖だったらほかの言葉にしようよ。」
「少しづつでいいよ。あなたは心の風邪だって言うけど、もう風邪どころじゃないよ。肺炎だよ。重症だよ。先生の言うことは1ミリも聞かないけど、わたしのことは、多少、聞いてくれてそうだから、楽しい時間にしようよ。」
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上っ面な言葉は、崖の上のギリギリのところにいる人には届かない。だとしたら、本音を言うしかないと思った。内心はドキドキだった。でも彼女の根っこは優しくて繊細。わたしの時間を有効にしてというお願いは、少しは役にたったみたいだ。今日の電話ではとっさに出た1回を除いて「死にたい」と言わなかった。(ただ薬が飲みたいとは言った。)
いのちの電話にかけて言われた話やセラピー中のことを聞いてみると、ありきたりなことしか言わないと、彼女は言う。頭でわかっていても感覚がついていかないのだろうか。素人がいいかげんなことは言えないから、こころの病気のことも、わたしの体験からしか言えないことのほうが多い。
世の中のカウンセリング体験談をいろいろ調べても、なにを話しているのかわからなかった。たぶん場合によるだろうし、どの言葉が刺さるかなんて、わからないのかもしれない。
聞くだけなのだとしたら、こころが苦しくて息ができない人は、話すだけで楽になるんだろうか。
彼女は話を聞いてくれるだけでいいと言った。でも母親にはわかってほしかった、とも言っている。わからないよ。死にたい気もちは。いやわかるけど、やっぱ「生きて」としか言えないし、言いたくないよ。
「しなないで。じゃないよ。生きて、だよ。ないものばかり考えるんじゃないよ。あること、できることを少しづつ増やそうよ。まずは食べて♪」
ぐるぐるまわる話。楽しむしかないのかもしれないなと、やっと思えるようになってきた。感謝。
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▼最初はまだ認識が甘かった。
▼いのちの電話の人にも食べろと言われたらしい
▼眩しくてつらいと言われたこともあるけど、光になりたい
ひきこもりの創造へ役立てたいと思います。わたしもあなたの力になりたいです★