人はなぜ傷つけ合うのですか?愛し合いたいだけなのに…永遠のテーマを紐解いてみた。

 イギリスBBC(英国放送協会)のドキュメンタリーシリーズ「ストーリーヴィル」からチェチェン共和国でのゲイ粛清を追ったアンダーカバー番組が再放送されました。
 放送では2017年2月からチェチェンで起きているいわゆる「ゲイ狩り」の実態を、それに抵抗する支援団体と共に明らかにしたもので、想像以上に暴力的な映像に相方ともどもその夜うなされるほどでした。このゲイ狩りはその辺のアホな不良が気晴らしにやったような突発的なものではなく、警察などチェチェン共和国の首長を含め、組織的な拉致、投獄、拷問、殺人が行われているとの事でした。ロシア連邦の一部であるチェチェン共和国はご存知の通り90年代のチェチェン紛争の記憶も新しく、深く傷ついた国です。2000年代に入ってからもテロが続き非常に不安定で危険な場所です。
 イスラム教徒が多数を占めるチェチェンにはゲイは存在しないと首長のラムザン・カディロフは言います。したり顔で組織的なゲイ粛清を否定しました。彼は初代チェチェンの大統領アフマド・アブドゥルハミドヴィッチ・カディロフの息子です。彼も父親をテロリストによって暗殺された被害者とも言えます。2007年ラムザンは大統領となり、それからロシアでは英雄とされ、チェチェンでは個人崇拝されるほどの地位なのです。(近年大統領から首長へと変更)
 イスラム教徒はロンドンの人口比で6%弱、100万人ほど生活しています。私の近所にも沢山のイスラム教徒が住んでいます。若い家族のお隣さんからは美味しそうなカレーの匂いがいつもします。他にも沢山の人種や宗教、国籍が混在するロンドンですから、国内、いや世界中の他の地域に比べてかなり多様な場所と言えます。ほとんどのイスラム教徒は真面目ですが女性蔑視が問題です。それは差別に止まらずある国々では「名誉の殺人」が公然と行われるほど深刻で、女性の権利なんてなし。そして同性愛者でいることは近代のイスラム教において「罪」であるという思想が広がっているから、イランなど平気で死刑に処される。そうなるとイスラム圏で女性の同性愛者の場合はどうなるだろう?考えるだけで身の毛がよだつ。
 チェチェンのゲイ狩りに反抗するこの支援団体は百数人もの人々を国外に逃してきました。番組では支援団体に助けを求めたある若い女性を追いました。彼女は同性愛者であるが故に、自分の叔父に脅されていました。官僚の父親にバラされたくなければ自分とセックスしろと脅されていると。彼女は自分のセクシュアリティーを知られると父親に殺されると信じていました。

ある防犯カメラの映像で、夜、人通りのない広場に車が停まった。女が車から引きずり降ろされ暴行を受けている。男は側道から大きな石を拾って、倒れている彼女の頭上に振り上げたところで映像が切れた。

 人を傷つける理由は何だろうか?金の為、生活の為に強盗、殺人など、よくある話だ。宗教の違い、民族の違い、人種の違い、セクシュアリティーの違いもいざこざの原因だ。前述の生きていく為、欲の他に「違う」ということが原因になっている。そして「違う」ことが「悪い」という前提があるということになる。日本でもよく聞くようになった多様性だけれども、人間は果たして多様性に対応できるのか。前回の第8話 もうヨーロッパ人じゃないの?イギリスの若者が屈した大英帝国のレガシーにも書いたが、柔軟な若者と頑固な中高年と比べると圧倒的に若者の方が多様性に順応し、自分達は様々な人種や国が集まるEUという集合体のヨーロッパ人という認識をしている。反対に中高年は自分達がイギリス人だ!という確固たる人種的な違いがあると信じて止まない。そうゆう人は往々に傲慢で差別的で凶暴だ。血統を気にするイギリス王室なんてヨーロッパ人のミックスという話は有名だし、古代ローマからもう混ざっているわけだから「生粋のイギリス人」なんて存在しない。日本ももちろん同じです。

 「台湾はほんの小国ですから」と、台湾の弁護士の資格をもつイラストレーターの友達に日本語で言われたことがあった。大日本帝国に支配された台湾の名残か、私という日本人を前に謙遜からそう言われたのか、改めて日本という国を意識したことがあった。アジア諸国を牛耳ったかつての日本は史上最悪な歴史も残したけれど、働き者で頑張り屋という気質で幸いにも稀に見る発展を遂げた訳で、台湾のような小さな島国から見ると日本は近代的に発展した憧れの大国のように見えるのだろう。本当にありがたい事。しかし今の台湾を見てみると国土は小さくともコロナ対策で功績を残したLGBTの天才IT大臣オードリー・タンや、彼女を指名した蔡英文総統は女性。そして柔軟なリベラル思想を持った彼女だからこそコロナ危機から国民を守れたのだろう。これこそ発展した素晴らしい国だと私は思います。
 前にも言ったように頭の硬い中高年は真実から目を背け攻撃的だ。頭ガチガチだから想像力も乏しい。人の痛みなんて分かろうともしない。コロナ危機で成績の悪い国のトップは往々に中高年男性なのは皆さんもお気付きの通り。彼らは自分達がいつでも社会で優越であったから傲慢で怠慢だ。
 安倍首相は6月の会見を後に今日の広島の原爆の日までぷっつり国民とのコミュニケーションを絶った。そこでも黒い雨を浴び、被爆者認定した広島地裁の判決に対し、控訴するかどうかの国の判断には触れなかった。なぜ?国が起こした戦争で被害にあった国民のサポートをしようという気はないの?もう75年も絶っているのに。人の苦しみが分からないの?自分達だけよければいいの?あなたの利権で自殺した人がいても?あなたのお友達にレイプされた人がいても?あ、いいみたい!
 
 多様性を認めない国の特徴には独裁が背景にある。一つの人種、政党が力を握った時に恐ろしい事になる。歴史を見れば一目瞭然だし、今尚そのような野蛮な国がたくさんある。日本もイギリスも民主国家であるからチェチェンみたいな事にはならないだろうと高を括っていると危ない。世界の中でも女性の地位がダントツ低い日本は官僚や政治家、管理職に女性が少ない。ましてLGBTであったならばどえらく冷ややかな目で出世なんてありえないだろう。日本企業では結婚していないと出世しないと聞いたことがあるが、これも自民党の後ろ向き保守運動の賜物じゃない?結婚してないとちゃんとしてない無責任な人みたいな考えの人がまだまだ多いのもこのミレニアム令和時代に私には驚きだ!
 安倍長期政権で権力の私物化がボロボロ出てきたが、これってなかなか独裁に近づいていないかいと思うのは私だけかな?野党の掛け合いも無視して夏休みー、イェイ!安倍さんの都合の良いようにしか動いてない訳だからね。まずは政権交代、もっと柔軟な若い、いろんな種類の人間をトップに置いてこそ、暴力のない優しい良い社会ができるのではなかろうか?前回の衆議院選で山本太郎のれいわ新撰組の候補者から木村さんや舩後さんという障害者のお二人が当選した。もう一声で東大教授の女装家の安富さんも入って欲しかった!いわゆるおじさんエリートだけでなくこうゆうオルタナティブな人種が政治に関わるとグッと民意と近くなると思います。

おすすめYouTube:
東大に合格せずとも安富さんの授業を受けられるありがたいyoutbe。ヨーロッパの戦争がいかに今の民主主義の要を作ったか、そしてそれは全て富国強兵のためだった…。斬新でアイオープナー。
一月万冊の清水さんと関西のノリでとっても面白いです。是非に。


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