2020年6月のねこ日記
1風がぶわーっと吹き抜けると、吾輩はわたしの腕からあわてて出ていく。あわてたわりに、そおっと窓辺に近づき、おそるおそる外を見回している。なにもない。ベランダに置いてある蚊取り線香のにおいが、風にのって部屋へやってくるので、吾輩はますます不思議そうな顔をする。気候が夏めきだしてからもうしばらく経つけど、不思議は去らない。こないだ、今年はじめて冷房をつけたときにも、この子は送風口を見上げて鼻をつきだしていた。風に目を細める。しばらくして吾輩は、これはそういうものか、そういうものだ