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もはや、"プレイ"じゃない。つよい意志だけが導く未来がある。

担当している作家さんから打ち合わせの時に「DETROIT BECOME HUMAN(デトロイト ビカムヒューマン)」というPS4のゲームが気になっている、ということを聞いた。それが2週間前。

もし作家さんがこのゲームにハマって原稿が上がらなくなったらやばいんじゃ…?と思い、「じゃあ私が先にプレイして面白いかどうか見ておきますね!!」と言ってすぐにAmazonでポチった。その時は、ゲームが面白いかどうかより、ただただ原稿のことしか頭になかった。

むしろポチったことすら忘れて、次の日自宅に届く。あまりに興味がなさすぎてそのまま何日か台所に放置した後、やっと封を開けた。商品説明を見るとアンドロイドが主人公の近未来SFものらしい。

でもまぁ…私はブレードランナーも正直ピンとこなかったし??結局アンドロドイドが感情を手にいれて人間と戦う、みたいな??ロボットVS人間、みたいな??そんなもんでしょ??結局そんなもんでしょ????

とナメくさった態度で、NetflixとBlu-rayを見るために買ったPS4に、はじめてゲームソフトを入れた。(その使い方どうなのというツッコミは今は置いておいて…)
ちなみに私のゲーム偏差値はマリカーとポケモンとハム太郎で止まっている。


結果、プレイ時間が週末だけで30時間近く。2回目のエンディングを迎えギャンギャンに泣きながら「最強で最高の物語や…」とコントローラーをかたく握りしめて、朝を迎えた。

ナメくさった態度でいた自分に強めのパンチをしたい。めちゃくちゃ面白かった…。めちゃくちゃ面白かったよ!!

というか、もうゲームじゃない。もはやプレイするとか、そういうんじゃない。1つの世界だよ…私はその中で生きるアンドロイドで、この腐った世界を自分の意志で少しずつ変えていくんだ…。


グラフィックが美しすぎて、ゲームというよりむしろ映画。その中に自分が入り込んでいるほどの没入感。シナリオは海外ドラマを観ているような中毒性。

物語は、3体のアンドロイドの視点をチャプターごとにかわるがわるプレイしていく。全32チャプター。基本的に会話や行動を選択していくだけ。

アンドロイドの目的は全員バラバラで、時間軸は一緒なんだけどそれぞれのイベントが交差することは、物語の前半ではほとんどない。

それが後半になるにつれ、それぞれの世界線が複雑に絡み合って、鮮やかに伏線が回収される。バラバラだったパズルのピースがハマっていくように、怒涛の勢いでエンディングに向かって走り抜ける。


パッケージ見る限り、操作がめっちゃ難しいのでは…と思っていたが、そんなことなかった。(プレイモードはCASUAL)
いたって簡単で、ひたすら周囲の怪しいところを調べて、物語をすすめて、会話や行動の選択肢を増やしていく。
アクションも画面に表示されるボタンを指示通りに押すだけでいい。とりあえず困ったらR2スキャン。とにかくこまめにR2スキャン。これからプレイする人はこれだけ覚えていれば、大丈夫。

むしろコントローラーを駆使するより、会話の選択で頭を駆使する方が難しい。選択肢が一つ違うだけで、全く別の世界線に繋がってしまうからだ。

一つのチャプターが終わるごとに、世界線のフローチャートが表示されて、実は全く別のストーリーがあることを知る。(画像は拾い画で、ネタバレ防止のため英語で解像度落としました…)

「もしあの時、こう言ってれば…」「あの時、あそこも探していれば…」

そんな細かい行動が、のちのちの結末に影響していく。チャートが緻密に設計され、その細かさは狂気的だ。

この物語は、最初の1発目が"本当の物語"。

エンディングを迎えた後、NEW STORYとしてまた初めからプレイできるのだけど、DETROITは最初の1発目が本当の物語。プレイヤーの意志だけで、紡げる未来を見て欲しい。

最初は、何の前情報もなしに、攻略も見ずに、自分で考えて進めて欲しい。
完璧じゃなくていいし、私もハッピーエンドと言える結末に辿り着けなかった。けど、これが自分の物語だと思って、最後まで見届けて欲しい。

仲間たちが選択を迫る時に「あなたが決めて」「お前が決めろ」と何度も何度も言ってくる。これは画面の向こう側にいる、プレイヤーの心に投げかける言葉だ。決断すること。そして、自分の意志を強くもつこと。シンプルな言葉だけど、これが一番のヒントだと思う。

ちなみに私は優柔不断すぎて、決断すべきところでしっかりと決断できなかったのが敗因…。あの時ああすれば救えたのに、こうすれば…。そういう後悔や、絶望を心の底から味わった…。今でも思い出すとちょっと泣きそうになる。それでも、最高に楽しかった。本当に、最高だった。

とにかく初めは攻略も、何も見ずにやる。
これこそが、DETROITを最高に楽しむための方法。

暗いだけじゃなくて、刑事バディという最強のエンタメ要素。

ここが、DETROITのすごいところ。
物語全体としては暗くてシリアスなシーンが多いけど、刑事バディものという最強のエンタメ要素が入ってる。

アンドロイド嫌いの警部補ハンクと、アンドロイドの捜査官コナーがバディを組んで立ち向かう。この二人の親密度は、エンディングにも影響してくるので、仲良くならねばならない。

そして物語を進めるうちにこの二人が愛しくてたまらなくなる。ぷりきゅあ…?二人は最強のぷりきゅあなの…?というレベル。

たくさんの感情を感じて、思う存分揺すぶられて欲しい。

最後に、すこし差し出がましいけど編集者目線でみた物語の魅力を分析してみる。

3人のアンドロイドは、目的が異なり、お互い対立することがある。でも実際のプレイヤーは1人。この構造が、とんでもないのだ。

感情の揺すぶられ具合が、すごい。とても、心苦しい。しんどい。

私はふだん、漫画の編集をしていて読み手の感情曲線について考える。起承転結の中で、ワクワクしたり、悲しくなったり、読み手にとって気持ちのいい感情の流れを曲線で書き出して見る。こんな感じに。

でもDETROITのプレイヤーは一人なのに、同時に3つのキャラクターをプレイすることで、感情曲線が3重になる。それが、複雑に入り乱れ、何というかもう意味がわからなくなる。感じたことのない感情になる。


この感情のギャップこそが、キャラクターだけではなく、プレイヤーすらも自己矛盾の葛藤へと巻き込んでいく。

この感情の動かし方こそが、DETROITの最大の魅力だ。


無料体験版だけでも、面白さはじゅうぶんに伝わると思う。
ぜひ。ぜひ…!!!!

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そして、今は、こんな面白すぎるゲームを作家さんにすすめて原稿に支障をきたさないか、ということを本気で悩んでいる。

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