見出し画像

幸せな時間をありがとう。

この前、息子が卒乳を迎えた。徐々に授乳する回数は減っていたので、そろそろかなぁと思いつつ、急ぐことでもないのでのんびりと構えていた。

1歳を迎えて2週間ほどたったある日。夜に泣き出したので、いつものようにおっぱいをあげた。でも、飲まない。そのまま寝たので、ラッキーと思いながら、私も眠りにつく。その後も何度か起きたけれど、おっぱいをあげようとしても顔を振って結局飲まなかった。

そしてそのまま、翌日も一日中飲むことなく、息子は卒乳した。

-----

卒乳は大変だと聞いていたので、こんなにあっさりと終わりを迎えたことにホッとしつつも、驚いた。息子は私が思っていた以上に成長していたようだった。そして、そんな息子の成長についていけなかったのは、私の体と心の方だった。

まず胸が張って痛くて、眠れなくなった。私は母乳が出やすい体質だったので、おそらく突然の卒乳に母乳が止まらなかったのだろう。

張りが落ち着く程度まで絞って、最後は助産院に行って絞り出してもらい、数日経つと落ち着いた。

出産してしばらくの間も、母乳が溢れんばかりに出ていて、同じような状態だったので、ふとその頃の記憶が蘇った。

あの頃は初めての育児に慣れず、息子を育てるのに必死だった。息子もまだ本当に小さくて、母乳しか飲めなくて、なんとかしてこの子を生かさなければと思っていた。

それが、離乳食が始まり、徐々にご飯を食べる量も増えて、体も大きくなり、伝い歩きをするようになって、どんどんと逞しくなっていった。

そして迎えた卒乳。自分の体が落ち着くと、ふともうこの子が私のおっぱいを飲むことはないんだなぁ、もうその姿をこの目で見ることはできないんだなぁと、急に寂しさが込み上げてきた。

飲んでいる時はそれが当たり前で、何も感じなかったのに。いざ卒乳をすると、私の中にぽっかりと大きな穴が空いた。

息子のおっぱいを飲む姿や、その時の感覚はちゃんと残っていて、いつでも思い出せる。でも、いずれは忘れてしまうんだろうか。

もしまた新たな命を授かったとしても、今の息子にあげられることはもうなくて。なんだか誕生日以上に、息子の成長を実感した瞬間だった。

こうして子どもは、どんどん親を離れて、成長していく。進んだら戻ることはもうなくて、前へ前へとひたすらに進んでいく。だから、あの頃に戻ることは決してない。そう思うと胸がぎゅとなる。

間違いなく卒乳は、私たちにとって一つの大きな区切りだった。だから、ここにこうして、ちゃんと今の気持ちを残しておきたいと思う。

-----

息子くん、この1年、お母さんのおっぱいをたくさんたくさん飲んでくれてありがとう。お母さんのミルクはおいしかったかな?

最初の頃は、お母さんのおっぱいがうまく調節できなくて、たくさん顔にミルクを浴びせちゃってごめんね。あと最近は、お母さんの方から無理やり飲ませちゃうことあったけど、頑張って飲んでくれてたね。

君が生まれたばかりで、まだお母さんのおっぱいが上手く出なかった頃。目は見えなくても、一生懸命に口を動かしておっぱいを飲む姿に、生きようとする気持ちがみえて、泣きそうになったこと。君が少し微笑みながらまどろんで、幸せそうに飲むその姿がすごく愛おしかったこと。

今でも、昨日のことのように思い出せます。君がおっぱいを飲む時間は、お母さんにとって、すごくすごく幸せな時間でした。

君がおっぱいを飲むことはもうないけれど、これからも、一緒にたくさん遊んで、おいしく食べて、気持ちよく寝て、いずれは手を繋いでお散歩したりしながら、楽しく一緒に成長していきましょう。

息子くん、そして私。卒乳おめでとう。



この記事が参加している募集

#子どもに教えられたこと

32,933件

#子どもの成長記録

31,448件