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イギリス流休日の過ごし方 #11

イギリスにもう4年住んでいて、タイトルに”イギリス流”とつけているものの、私がイギリスのことがわかった・理解できたなんてことには絶対にならないと、思っている。4年なんてまだまだだし、私の住んだことがあるのはロンドンだけであり、関わってきた人たちも社会政策を学ぶ院生(イギリス人は1割位)と、難民支援NPO界隈の人たちだからである。この人たちが一般イギリス人かというと、そうではないだろう。会社勤めの人だったらまた違ってくるとは思う。それでもやはり、何かイギリスの国の全体的な雰囲気や共通の感じは、NPOの人たちから感じることは多い。

週に3回くらい一緒にいても、お決まりのように今度の週末何するか、この前の週末は何したか、を皆聞いてきてお互い何したか何するか言い合うのだが、一言で言うと、会話に全然商業的な臭いがしてこない。テーマパークやデパートやアウトレットに行ったなんて話は一回も聞いたことはなく(もちろん、そういうところがあまりないからっていうのもある)、どこどこの大きな美しい公園にいっただの、小さな畑を持っている子は何何を植えただの、ハイキングに行っただの、あとは家族で集まっただの、美術館に行っただの、そういう話ばかりである。夏休みなどの年休も、森の中のキャンピングカーで家族三人で過ごした等々である。どんなに自然が美しくて、その中で持ってきたこういう本を読んだ、とみんな話している。

在英日本人のインスタグラムを見ていると、アウトレットに行ったとか(郊外にある)、バーレーとかなんとかの皿のファクトリーショップに行ったとか、おしゃんなレストランに行ったとか(多分うちのイギリス人たちはposhなレストランと形容するんだと思う。poshとは高くてラグジュアリーなものを指す)、そういう週末を目にするが、うちのNPOのイギリス人たち(ヨーロピアンもいる)がそういう週末を過ごしているのは聞いたことがない。積極的に消費活動するよりも、そこにある自然の中で、親しい人と、リラックスした時間を過ごすのが、真に豊かなことだと思っているのだと思う。

もちろんそれでも、昔に比べてイギリスがアメリカ化されて、消費市場主義になってきているとイギリス人は言うのだけれど、東京のど真ん中にたったときと、ロンドンのど真ん中にたった時に受ける私の印象は全然違う。東京だと、「ああ今年はこういう流行なんだな」と一眼でわかるのだが(例えば、女の子たちの服装とか髪型がすごい似ているとか)、ロンドンの街中にたっても今年の流行は何かなんて全くわからない。みんなが単に思い思いの好きな服(ピカピカのおニューとかではない、決して)を着ているだけである。

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写真は、今年の夏にBushy Parkというちょっとマイナーなロンドンの公園でとったもの。スージーとカミラと一緒に、産休に入る心理士のレイに会いに行ったのだ。お昼を挟みつつ(ベンチでその辺で買ったサンドイッチをつまみ、チョコケーキを皆でわけた)、計5時間くらい散策をした。鹿に出会ったりウサギに出会ったり、植物博士のスージーが、この木は何々で〜とか言ってるのを皆で聞いたり。コロナだからこういう会い方をしたというのもあるが、コロナ前にレイや他の皆とあったときも、やはりリッチモンドあたりの美しい景色の中をひたすら歩いただけだった。

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東京生まれ、東京育ちで、金融で働いていた私は、消費社会に毒されていたように思う。特に会社で働くようになってから。またあの東京に戻っても、このイギリスで見てきた豊かさのエッセンスのようなものは忘れずにいたいと思う。

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