【相互インタビュー#01】福島発!40歳を目前に 震災と倒産を乗り越え地方創生ライターに
ライターのわたなべ真理子です。
取材記事に挑戦したい!そんな思いを抱いていた矢先、「相互インタビューの相手を募集している人がいるよ」との情報が、note運用チャレンジ部(楽しくnoteを積極運営したい人のコミュニティ)主宰者の山口なつめさんから入ります。
絶妙なタイミングで降ってきた取材記事の経験を積めるチャンス。挑戦しない理由はありません。
今回は、その発案者であるチャレンジ部メンバー森崎遼平さんへのインタビュー内容をnoteにまとめました。
森崎さんは、本業の傍らWebでSEO・コラム・取材記事を中心に執筆活動に励む副業ライターさん。2024年3月頃から、ご縁あって地方創生ライターとして、企業やお店の発信サポートもしています。
東京都生まれ福島県出身。小・中・高と海沿いの相馬市で過ごし、20歳のときに父親が経営する会社に跡取り息子として就職しました。それから20年。
明るく気さくに話す森崎さんが歩んできた道は、遠慮がちに言っても波乱万丈でした。
それでもいま、「やりたいことが見つかって前を向いて進み始めています」と話す彼の人生に何があったのか……。
地方創生ライターになるきっかけや地元福島県に対する思い、今後の展望などを伺いました。
人生で一度あるかないかの試練を2度も経験
森崎さんは父親の会社に就職して13年目、いまだ記憶に残る東日本大震災で、会社の工場が被災するという経験をしました。
幸い、福島県の補助金が一助となり会社は再建したものの、2019年にふたたび経営不振となり、最終的には多額の借金を抱え倒産。
40歳を目前にして、失業・借金・自己破産・経済苦と、まるで絵に描いたような転落人生を送ることになります。人生で大きな試練を2度も背負ったのです。
「まさかこの年になってこんなことが起こるとは想像もしていませんでした。跡継ぎをすることを目標に半生を会社に捧げてきたわけですから……もう、目の前が真っ暗でした」
そう、深刻な面持ちで話す森崎さんは、妻と子ども3人を養う一家の大黒柱。いつまでも悩んでいるわけにはいきませんでした。
そこで、長年住んでいた相馬市を離れ、心機一転を試みることに。再出発の地に選んだのは、奥さんの地元福島市でした。
再就職先は見つかったものの収入が激減
しかし、知人の紹介で再就職はできたものの、収入は今までの半分になる、という現実が待っていました。
「妻と子どもを養っていくのには、かなり厳しくて。倒産を経験したことで会社に依存するのは危険だとも考えていたんですよね。それと、今まで経営に携わってきたので、自分でビジネスをしたいという思いもありました」
それが副業をはじめるきっかけでした。
とはいえ、すぐにライターを始めたわけではなく、自分に合う職を求めて、せどりやネットワークビジネスなどに挑戦したそうです。
ライターをはじめたのは知人からの一言がきっかけ
そんなある日、「ブログで稼いでみたら」と知人からアドバイスを受け、勢いに任せてWordPressを立ち上げブログを書いてみることにしました。
ただ、とりあえず発信の準備はできたけれど、ブログ初心者がいきなりうまく書けるはずもありません。
試行錯誤を重ねた結果、再度知人に相談し、クラウドソーシングサイトを利用してブログ記事を外注。20記事ほど書いてもらったそうです。
ところが、納品された記事を見ると、なぜか物足りなさを感じます。
「このクオリティの記事ならば、もう少し頑張れば自分でも書けるのではないか? 失礼ながらそう思ったんです」
記事の仕上がりが、期待していたものとはほど遠かったのだそう。
しかしこの出来事がきっかけで、「自分で記事を書いてみよう!」と思い至り、ライター活動の一歩を踏み出すことになったのです。
ライターを始めて1年ほどは迷走していましたね
平日は、商社の営業マンとして休みなく働いている森崎さん。執筆には、唯一の息抜きである土日しか時間を割けないのが実情でした。
案件に応募しても採用されない日々が続き、限られた時間の中で成果を出せるのか、不安は日に日に募っていきました。
「このまま続けていて本当にいいのだろうか」
そんな焦りと自問自答の日々。
特に最初の1年は、まるで迷路の中に迷い込んだような感覚だったといいます。
「どんなテーマの記事が求められているのか、自分の強みは何なのか、まったくわからなくなってしまって……」
それでも、文章を書くことへの意欲だけは消えなかったのです。
そんな彼に転機が訪れたのは、地元相馬市に帰省したときでした。
地元相馬市に活気はなく
福島市で再出発を果たしてからも、時折生まれ育った相馬市に帰省していた森崎さん。しかし、訪れるたびに地元の活気のなさに胸を痛めていたといいます。
そしてよみがえってきたのは、東日本大震災の光景でした。
「震災の記憶は今でも鮮明で、価値観がひっくり返るほどの衝撃を受けました」
震災から10年以上経っても相馬市の荒廃は変わらず、週末になると人影はまばら。商店街はシャッター通り化し、消えてしまった集落もあるそうです。
かつては一次産業が盛んだった相馬市も、いまや労働人口の減少や後継者不足が深刻。若者たちは地元企業に魅力を感じず、上京するケースが増えています。結果、街の活気はますます失われているといいます。
子どもの頃から慣れ親しんできた相馬市の風景が変わり果てたことに、非常にショックを受けたそうです。
「僕も、学生時代は相馬市に魅力を感じていなかった一人です。しかし、震災を経験し、地元を離れて久しぶりに帰ってきたとき、海や自然の豊かさに改めて気づかされたんですよ」
そう話す森崎さんは、ライター業に携わったことで、地元のお店のホームページに目が行くようになります。そして、地域活動が広がっていない現状を目の当たりにしたのです。
そんな中、彼の心に浮かんだのは「街がこのまま衰退していくのはもったいない」という思いでした。
現在、地方創生に向けた取り組みが国をあげて活発化しています。一方で、地元の特性やニーズに合った解決策が見いだされていないケースが少なくありません。
そんな現状を知ってからは、ますます「地元の問題は地元で解決すべき!」と、強く感じるようになったのです。
自分に何ができるのか真剣に考えた末にふと浮かんだのは、「地域に根ざした活動をしている人たちの紹介ならできるかもしれない」ということでした。
そこからライタースキルを活かしSNSで地元の魅力を発信したい、と彼は思い始めました。
地方創生メディア「メディアール」との出会い
かといって、自分一人の力にはあまりにも限界があります。何かよい方法はないか、地元のことを紹介するメディアがないのか、インターネットで探し始めました。
そこで出会ったのが地方創生メディア「メディアール」です。
地方創生とは、過疎化や経済の停滞に悩む地域を活性化することを目的とする活動のことです。
メディアールの狙いは「地元のことをより身近な人が発信して盛り上げていくこと」
まさに、自身の福島への思いと合致するメディアとの出会いでした。
人とのつながりが何よりも大事
森崎さんの話を伺っていると、「人とのつながりが何よりも大事」という言葉が何度も出てきます。
波乱万丈な人生ではあるけれど、その時々で救いの手が差し伸べられている、そんな印象を受けました。
震災後の相馬市で感じた絶望感、地方創生ライターとしての新たな一歩を踏み出す決意。実際に、その間には相談に乗ってくれる知人や仲間などが森崎さんを支えてきたといいます。
note運用チャレンジ部との出会いは大きかった
冒頭でも触れた、2024年6月から参加している「note運用チャレンジ部」との出会いも大きな転機になったそうです。
「『メディアール』との出会いや、プロフィール記事が完成したのは、部員の方々のおかげです」
実際、noteの自己紹介記事は、たくさんの方に読まれています。さらに、相互インタビューの募集をかけたら、なんと13人もの応募があったそうです。
「部員の皆さんの温かいサポートなしには、ここまで成果を出すことはできなかったと思います」
そう言って、note運用チャレンジ部への感謝の気持ちを語ってくれました。
ライタースキルを活かして地元を盛り上げていきたい
森崎さんは、ライター活動を通して、書くことは一つのツールであり、やりたいことのゴールではないと気づいたといいます。
「自分が一番やりたいことは、地元に活気を取り戻すことなんですよ。ただ、そのためには発信力が必要です。だからこそ、思いを言語化することが苦手な方のサポートをしていきたいんです」
実は、東日本大震災後1年ほどは相馬市もメディアに取り上げられ、復興に向けて応援を受けるも、それ以降は見向きもされなくなったそうです。
地元を盛り上げようと、コツコツ地道に活動されている方がたくさんいるのに、注目されることはほとんどない、といいます。
だからこそ、「そういった方々にスポットライトを当てるために、自分が地域の広報担当を務めたい」
それが、今後の展望なのだそう。
自己紹介のトップ画像に込めた思い
森崎さんの自己紹介noteを開いた瞬間、目に飛び込んできたのは、親しみを感じる一枚のイラストでした。
この絵には、彼が生まれた場所から父親の仕事の関係で引っ越ししたこと、就職後の試練やライター活動の思いなどが、物語のように描かれています。
「このイラストは、自分の人生そのものなんです」
そう語る森崎さんの表情は、まるで宝物について語っているかのようでした。
彼の言葉に導かれるように、イラストをじっくり眺めてみると、そこには故郷である福島県への思いや地方創生ライターになる熱意を感じました。
実際に、イラストレーターさんと何度も打合せを重ね、自分の半生をイラストに凝縮したといいます。
「地方創生ライターとして、福島県の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい」
その言葉には、たしかな決意が感じられました。今後は、きっと多くの方々の心を動かし、地方創生の輪を広げていっていくれるはずです。
最後に、森崎さんが企画した相互インタビューは、現在も募集中です。
そして、こんな方におすすめだそうです。
今まで主にSEO記事を執筆してきたけど、取材記事にも挑戦したい!
コミュニケーションスキルを身に着けたい!
他のライターさんの考え方や価値観に触れ、自分の仕事に活かしたい!
などなど。
少しでも興味のある方は、以下の記事をぜひ、チェックしてみてくださいね。
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