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私と法との関わり:2021年9月13日(世界法の日)

私は法学部出身だ。
しかしながら、大学を卒業してから今まで、法律に関わる仕事をしたことはない。

大学で過ごした4年間、最初こそは勉強はしていたけれど、サークル活動に夢中になったり、地方テレビ局でのアルバイトに精を出したりしていたら、卒業前の後期試験は単位が足らず追試になった。

今では全くと言っていいほど仕事でも縁のない「法」、今している仕事を考えると、プログラミングの学校に行っておけば良かったなと思うこともある。

そもそもなぜ進学先に法学部を選んだのか?と思い出していたら2つの理由があった。

1つ目は、私の実家の隣家との土地境界問題だった。
隣の家の住人はいつの間にかジワジワと境界線の石を動かして土地を広げていた。それに気づいた母と祖母が行政への相談もしていたが、間に地域の知恵袋のような暇な人が入り話がややことしくなった。
私が物心ついてから今まで解決していない。

今であれば平成18年から導入された「筆界特定制度」で裁判やトラブルがなく解決ができるようになっている。ただ、当時は土地境界問題といえば裁判で解決しなければならない、ということで母も祖母も重い腰をなかなか上げず、家で「あーでもない、こーでもない」と言っていた。

このときの私は単純に「法律を知っていれば困らない(ケンカしない)ことなのでは?」と子供ながらに思っていたし、境界線を決めるだけなのに、なぜ解決しないのかが理解できなかったことから、法律に興味を持つきっかけとなった。

2つ目は、テレビドラマの影響だった。
母も祖母もNHKの朝の連続テレビ小説が好きで、当時放送されていたひまわりは私も大好きだった。
女優・松嶋菜々子さんの主演デビュー作だ。

バブル崩壊の余波で会社をリストラされ、恋も自分も見失った主人公・のぞみ(松嶋菜々子)が、「人の役に立つ仕事がしたい」という希望をもって法律家を目指し、超難関の司法試験に挑戦する物語だ。
恋模様などの人物描写も面白くドキドキしながら観ていた。

今でももう一度観たいと思える作品で、当時は勉強を頑張る、ハツラツとしたのぞみ姉ちゃんの姿を見て法律家に憧れた。
当時、初めてテレビでみた松嶋菜々子さんは、背が高くてカッコよく、笑顔がとても素敵だったことをよく覚えている。


9月13日は世界法の日。1965年、アメリカのワシントンで開かれた「法による世界平和についての国際会議」で、国際間に法の支配を徹底させることで世界平和を確立しようという宣言が採択された日だ。

私が今暮らしているマレーシアはイスラム教、ヒンズー教、中華系など多民族多宗教国家で、法律よりもそれぞれの宗教的な戒律のほうが日常生活の中で大きく意味を持つことが多いようだ。
例えば、イスラム教では女性は肌を出してはいけないし、豚肉を食べてはいけない、アルコールを飲んではいけない等の教えがある。

マレーシアでは、それぞれの民族・宗教の人たちが、それぞれの文化や生活様式を尊重しうまく住みわけをしていると、現地で暮らしていると感じることが多い。きっと、長い歴史の中で当たり前に「そういうものだ」と定着しているのだろう。


私は以前は「人の役に立つ法律家」になることに憧れて、勉強もした。
法律は国家による国民に対するルールで、社会秩序を守り、国民の生活をより豊かにするために存在している。

土地境界問題について、「さっさと行政で手続きをしたら?」と私が言っても「いやいや、お隣さんとの人間関係が…」という母。

うちの土地境界問題が今の今まで解決しないように、人同士の問題はなかなか双方が納得して解決することは難しい。

そういうものかもしれない。

法学部出身なのに「法」に縁がない仕事に就いた私だけど、今の私の経験が役に立つかもしれないと少し希望を持っている。


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