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人間と社会の相反性

先日の台風6号が去ってからというもの、ここ宗像大島では心地の良い風が吹いている。
盆地による慢性サウナ状態の京都の夏を思えば、エアコンなしで日中過ごせるほどの過ごしやすさ。
特に夜などは、網戸にしているだけで時折肌寒いくらい、かなり涼しい。
(といっても台風以前はとても暑くて熱中症になりかけたが)

昔の夏は、きっとこれくらいの体感温度だったのではないかな〜なんてパートナーKと話す。
その流れで、Kの友人の身に起こったエピソードに話が移った。

その友人が最近、カリフォルニアの某市から北カリフォルニアへ所用でドライブしたときのこと。
平常なら1.5時間ほどの往路が、道中事故が3件もあり渋滞が相次ぎ、結局3時間もかかってしまったらしい。
さらに駐車場から出ようとしたら出口で混雑していたため2時間も待たされたという。
友人の精神衛生にも、地球環境にもよろしくないハプニングだ。
憤るも、笑い話の種としてなんとか回収されたようだが、問題の根を深堀りすると、アメリカ社会の交通面での時代錯誤性、に行き当たった。

Kいわく、アメリカの交通面がどうしようもなく車に最適化されており、鉄道などに置き換えるのが至難の技であるとのこと。
それも旧時代の自動車産業と政府が結託して車を国民に推奨し、人々のライフスタイルに分かち難く組み込んだ結果だろう。

日本の行き届いた鉄道網に慣れている私からすれば、例えばロサンゼルスなど、なぜ大都市であるにもかかわらずこんなに公共交通機関が整備されてないのだろう、と違和感を抱いてしまう。(実際昨年訪れたときも移動はタクシー/Uber一択であった)

そこであれやこれやと話すうちに、「早くライドシェア且つ電気自動運転システムが普及すればいいのにな」という結論に至った。

車に適した道路や交通網はもはや変えがたい。冒頭での渋滞エピソードにしても、事故の原因の多くがヒューマンエラーであるならば、それを自動運転化で軽減できる。自動化による人件コスト減から運賃が大幅に安くなり、ライドシェアが主流となれば、電車などの運賃と同等になるかもしれない。
つまり一般化し、誰でも使えるようになる。

また電気自動車による自動運転システムにより、渋滞による排気ガスがなくなって温暖化防止への貢献につながる。など。多くの人が以前から叫んでいることだとは思うが、いいじゃないか。大賛成。
高齢化が進む地域では、ますますこういった整備が求められるのではないか。

VRが今後発展したあかつきには、現実世界と遜色ないドライブができるかもしれないし、人々はそこで運転を存分に楽しむというのはどうだろう。
ヴァーチャル上で排気ガスを排出しまくり、派手な高級スポーツカーを乗り回したらいいのでは。万が一事故にあっても、誰も怪我をしないし、保険も車検もいらない。空だって飛べる。

ただ、自転車のレーンはせめて人間用に残るといいな。
排気ガスも出ないし、良い運動になるし。

というわけで、とっとと社会がもっともっと効率的になればいいのにな、と思う。
先日のnoteにも書いたことだけれど、AI・ロボットとの共生社会において、社会が一層効率的になるのは大歓迎だ。
所有する時代から、手放して環境負荷を下げる時代へ。
無駄なエネルギーをどんどん削減する超効率的なニューインフラを。

社会の効率化が進めば進むほど、相反して人間はもっと非効率に生きられるのではないか、と考える。
もっと人間だからこそできること、楽しめること、言い換えれば非効率な行為によって。
もっと言ってしまえば、遊びによって。

人間は、仕事がなければ、きっと純粋な意味で遊んでいたい種族なのではないか。
楽しくて、夢中になれる遊びである。

絵画や音楽、文学。手紙。ゲーム。釣り。踊り。動植物との交流。造園。料理。祈り。

なんでもいい。そこには非効率な、人間くさい、楽しみや喜びが満ちている。

私の主観では、まだまだ人間がサピエンスの進化レベルから言うとポテンシャルを解放しきれていないな、もったいないな、という感じがする。

生きるために食べる。食べるために金がいる。金のために働く。まだまだこの途上な気がする。

この働く内容が遊びを含んでいると素晴らしいけれど、もし自由を拘束されているように感じる場合、それは社会の効率化がまだまだ進んでいない証拠なのかな、と。

社会効率化が進み、人間がわざわざやらなくてもよいことが自動化され、人間にしかできないことが人間の仕事になり、遊びにもなれば、そしてそれが地球にもフェアな状態を生み出せれば、サピエンスは次代に進化している、と言える未来であるかもしれない。

ちなみに大島での、私の主な交通手段は、徒歩である(笑)。

2023.8.16
大島のスタジオにて
ドローイングを添えて

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