見出し画像

『世界地図を読み直す』北岡伸一著を読んで

学生の頃あんなに勉強が嫌いだったごきげんママ♡ですが、最近心に余裕ができたようで遅まきながら向学心が芽生えました。大きめの本屋さんで出会ったのが『世界地図を読み直す』です。思い出しても悔しいのが中高の先生の授業が面白くなかったこと。自分の好きななんとか原人の話を一学期中し続けるのです。深くて面白いのでしょうけど、こちらは中学生。もっと広く浅く世界史の導入をしてくれたらよかったのに・・・

と今更愚痴っても詮無いこと。この本は現代の、あまり馴染みのない土地のお話です。インド、ロシア、ジョージア、ウクライナ、トルコ、フィンランド、ウガンダ、アルジェリアなどアフリカ諸国、ブラジル、コロンビア、パプアニューギニアなど南太平洋諸国、ミャンマー、東ティモールやタジキスタンと歴訪された著者による外交のことがわかりやすく書かれています。

恐らく一生その土地を踏むことも叶わないようなところばかり。その現状は様々で、多くは観光に適さない国でライフラインも整わず戦争の爪痕が残っているところもあります。その国の要人との会合で、日本にできる協力を申し出るなど、日本との友好関係を築かれている様子などがレポートされています。

日本は外国と海を隔てているので国防には有利ですが、ロシアや中国などと陸続きの国々は苦難の歴史をたどってきたと言えます。弱肉強食は動物界に限ったことではないのです。やはり軍事力と経済力が外交の基礎です。戦争が悲惨なことはわかっているのに争いが絶えない、人間の本性なのでしょうか、武器を作る会社の思惑でしょうか。自然災害とコロナだけでも日本人は十分苦しんでいるのにここに戦争の脅威が加わるのは想像を絶します。

今や日本は世界の中でも清潔で安全で平和な国になりました。そのせいもあって若い人は外国に行くことに消極的です。現在アフリカに住んでいる日本人は8,000人なのに対して中国は100万人を送り込んでいるそうです。中国人は世界中にネットワークを張り巡らしています。それでも青年海外協力隊の方々で水も電気もないところで活躍されている日本人もいらっしゃる様子に心を強くし、また安全にお仕事をされることを心から祈りたくなりました。

戦争を知らない子どもたちの一人である私にとって、南太平洋の国々の章も大変勉強になりました。ガダルカナル島などのことも聞いたことはあっても目を背けてきましたが、立派な司令官がいらしたことや、今は協力隊やボランティアの方々のおかげで平和のうちに信頼を取り戻していることなども新たに知ることができました。

実は母が著者と同郷ということで一方的に親しみを覚えて手にした本でしたが、世界平和がどれほど得難く尊いものかということや、日々国益のために尽力してくださっている方々がいる事をつぶさに知り、これから世界史を学び直す気持ちになるきっかけをいただきました。音楽が好きな私には著者が各国の文化にも触れて書かれているところが嬉しく思いました。また折に触れて顔を覗かせる郷土愛も心に残りました。

ここには書ききれないことが満載されていますのでご興味のある方はぜひご一読ください。














この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?