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ざくろのサラダ

コストコにこの季節に行くとざくろを買ってしまう。コストコの夥しい商品の中でざくろを選ぶ人はどれくらいいるだろう。幼い頃住んでいた家の裏庭にざくろの木があったような気もするしそれはもしかしたらいちじくの間違いだったような気もする。それくらい馴染みのない果物だった。

そのざくろを買ってみようと思ったのはアメリカのコストコで、隣人のパークさんという韓国の人がざくろの箱を抱えているのを見かけたから。パークさんは小柄で知的で優しげで敬虔なクリスチャン。私が日本から引っ越してきた日に小さな薔薇の鉢植えを持って歓迎の挨拶に玄関に来てくれた。

町内にはアメリカ人の他に中国、インド、ベネズエラなどいろんな国から来た人が住んでいてとても善良な人たちだった。その中で帰国した今も交流があるのはパークさんだけになった。

英語を話せない中学生の娘を連れてきた私は何かと同じ中学の上の学年に息子さんがいるパークさんを頼りにしたものだ。サマースクールの情報など、知らないことばかりだったが親切に教えてくれた。

彼女の人柄だけでなく、アジア人同士は味覚も似通っているので彼女が大事そうに抱えているざくろはきっと美味しいに違いないと信じてカートに入れた。

みずみずしく甘酸っぱいとうもろこしのような形状のつぶつぶが詰まったざくろは色素が濃くて周りを汚す危険の大きい果物でもある。それを越える美味しさに目覚めて一年に一度くらいこのざくろを箱買いする贅沢を自分に許してしまう。

上の写真のざくろ、一つ欠けているのにお気づきでしょうか。先日長女に持たせた分です。私が四つに割って貪り食べるのを娘は知っていたので娘宅でも果汁を飛ばしながら食べていると思っていた。

先程ラインが届いてお客様と食事をしたと写真が送られてきた。

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手前のガラスの器をよく見るとざくろの粒がサラダのトッピングになっているではないか、まるでクリスマスを祝す彩りで。いつの間にこんなもてなしができる女性になっていたのか我が子が。大雑把な私から想像もつかない。パンも自家製という。(よく見るとりんごもくるみもうちと分けたものだ!)

このサラダを見てパークさんをふと思い出して今年はクリスマスのメールにこの写真を添えて出すことにした。パークさんと出会ってざくろを買うようになって今、娘の食卓が華やいでいる。

人生って出会いで出来ている。これまで出会ったすべての人にクリスマスカードを出せるわけではないけれど、皆が元気で過ごしているといいなと思う。そしてまたnoteで出会う方々とのご縁にも感謝を込めて。

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今年の残された1日1日が幸せでありますように。


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