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渋谷のジャズはニューオーリンズを超えた

ミュージシャンたちが輝いていた。楽しそうだった。幸せそうだった。

コンサートがまた開かれるようになってチケットを取って渋谷に出かけた。大きなホールが満席だ。この日を待っていた人々がこんなにいた。

小曽根真さん率いるビッグバンドのコンサートは堅苦しくお行儀よく座って鑑賞するというよりはもっと自由に、許されるならお酒でも飲みながら聴きたいジャズ。

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真面目なサラリーマン風のベーシストと、日本人離れしたドラマーとの三人のセッションはお互いの目を見合いながら息を合わせていく。そのさまがとても楽しそうで、いのちが吹き込まれた音楽。

演奏される方の多くはアメリカの名門音大で専門的にジャズを学ばれたようで、日本人はなんてうまく海外のものを取り入れて自分のものにするのか感心してしまう。

2015年のサンクスギビングはニューオーリンズで過ごした。当時住んでいた南部のまちから車で八時間。そこはジャズの本場で名前が通っているとてもお洒落で人気の観光地でもある。もちろんジャズを聴くのが主な目的だったけれど小さな馬小屋跡で開かれる20人ほどでいっぱいのライブしか見つけられなかった。

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それはそれで魅力で、通りにはお鍋やボールやバケツをさかさまにしてリズミカルにスティックで叩いてお金を集める少年など、そこにしかないからだから湧き出る音楽があるなど、楽しめた。でもその旅行で一番記憶に残っているのはベニエという柔らかいドーナツだったりする。

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それよりも昨日の渋谷は音楽で満たされた。ジャズの持つニュアンスや魂、喜びがビッグバンド全員から届いた。会場全体も最後はスタンディングオベーションで大盛り上がり。

それにしても日本人はなんて音楽が好きなんだろう。先日閉幕したショパン国際コンクールの動画へのアクセスも全世界の43%が日本からのものだという。ポーランドからのクラッシックもアメリカからのジャズも最高のクオリティにして取り入れることにはただただ驚く。昨日のコンサートでもお若い女性の編曲と指揮が堂々と力強いことに頼もしさを感じた。

コロナ禍で輝きを失っていた生の音楽に今こうしてまた光が当たることこそが何よりも嬉しく、また機会を見つけて出かけたいと思う。

今日の東京地方は明るい日差しですが風が冷たいです。秋が一日ごとに深まります。どうぞ皆様良い週末をお過ごしください。

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