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《詩》-砂漠の風-vol.47



風が呼ぶ

愛しい人が舞うと
砂漠の風が呼ぶ

 
甘く切なく
優しく包み込む霞む大地
 
囚われて流れゆく意識
わが魂の在りかは灼熱の砂漠
 

粉々に砕けた砂漠の君
 
掬い上げる硝子の蜃気楼
さらさら さらさら
指の隙間を零れ
砂漠の風が連れ去る
 

眠る君の静かな横顔
 
硝子の透けた躯
温もりの堕ちた唇
そっと 魂を吹き込む

 
開かれた美しい瞳
憂いを纏う永遠の微笑み

 
輪郭をなぞる光りは
陽に透けて なお美しく

手繰り寄せる淡い記憶
宿る硝子の君

 
今は砂漠に舞う
まるで 雪の舞うが如く

 
追懐の街
夢をしるしに
幻影の君を抱く

 
風が鳴く

愛しい人を馨わせ
砂漠の風が鳴く


-砂漠の風-
 



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