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やわらかな熟れた桃をかぶりつく記憶の中の昼かぐわしき

 桃は贅沢な味がする。熟れた桃を今年は2回も食べた。包丁で半分にぱっかり割られた桃からは、果汁が溢れて口に運ぶ前からいい香りがする。口に含むと香りも強まって柔らかな果肉が蕩けそうで桃のことしか考えられなくなる。しあわせの味にうっとりとしてまた頬張る。食べている時に頭の中を見たら「もも」ってきっと書いてある。書いてたらまた食べたくなってきました。

 桃といえばジョージア・オキーフというアメリカの女流画家が描いた桃の絵を思い出す。「桃とコップ」というその絵は、本でしか見たことがないけれど、しっとりした絵を描く人だなあと思った。なんというか蘭の花びらのような質感を感じる。美味しそうに描こうとして描いたのとは違う気がする。美術評論をできるほど詳しくないので自分の感覚だけども。オキーフの桃を見て桃を食べたいとは思わないんだろうな。でも桃を見たらオキーフの桃をこれからもきっと思い出すんだろう。
ああ、桃が食べたい。

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