見出し画像

電子書籍化すべき~『人生激場』(三浦しをん)~

何となくしをんさんのエッセイが読みたくなり、図書館で借りました。

↑単行本(*古本です)


読んでいると、話題が何だか懐かしいんですよね。サッカーのドイツ代表のゴールキーパーのカーンとか、キムタクのドラマ「GOOD LUCK!!」とか、映画「ロード・オブ・ザ・リング」とか。まぁちょっと古いエッセイだし、と思って奥付を見たら、2003年発行。冷静に考えると18年前なわけで、「結構古い」とも言えます。何といっても、メールアドレスを持っていない友人が登場したりもしますし。


最近は少し前の本もどんどん電子書籍化されていますが、この本がされていないのは、やはりネタの古さでしょうか。でも、今読んでも充分面白いんですけどね。


しかしこの本のエッセイ、ほとんどは「週刊新潮」に連載されていたものだとは! 何となく「週刊新潮」に異世界に通じる穴が開いていたイメージです。でも読者は異世界への旅を楽しんだことでしょう。


印象に残った部分。

(照明の)フードをはずすために両手がふさがった状態で、グラグラする椅子の上に踏んばっていると、この世にこれだけ過酷な重量挙げがあるだろうか、という悲痛な気持ちになってくる。私は記録に挑戦したいわけじゃないんだ。ただ部屋の電気を替えたいだけなんだ。

これ、気持ちはとてもよく分かります。本当に大変だもの。でもあの苦労を「過酷な重量挙げ」と表現するセンスはすごい。

そして18年後の今になっても、しをんさんが提唱しているような「電球を替えるときは手頃な高さまで天井からスルスルと下りてくる照明器具」なんて実現していませんよね。まぁそもそも今は電球じゃなくLEDなので、寿命が長いから、交換の手間も減ったけど、それでもゼロじゃないしね。


「あぐり」という名前について、昔は「女の子はもういらない」という意味があったことは知っていましたが、「変わった名前をつけると丈夫に育つ」ということで命名されることもあったというのは初耳でした。何と、鎌倉時代の文献にも登場するほど古い名前だとか。


あと、ニューヨークのテロの時、救助犬たちが生存者を一人も見つけられなかったことからノイローゼになったというのも初耳。仕方がないので、消防隊員がサクラとなって瓦礫の陰に寝っ転がり、犬たちに役に立ったという喜びを味わわせたそうです。


サッカーのイングランド代表のシーマンに、スパイクに絡みついた芝をクリスマスプレゼントとしてもらった、という夢の話にはウケました。夢の中なのに、なんて謙虚なしをんさん。


他にもいろいろ、面白ポイントが満載です。

やっぱこの本、電子書籍しても良いんじゃないでしょうか。


↑文庫版(*2006年発行)



この記事が参加している募集

記事の内容が、お役に立てれば幸いです。頂いたサポートは、記事を書くための書籍の購入代や映画のチケット代などの軍資金として、ありがたく使わせていただきます。