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尻上がりに面白くなっていく~『まことの華姫』(畠中恵)~

*この記事は、2020年3月のブログの記事を再構成したものです。


この『まことの華姫』は、江戸時代の両国の見世物小屋で、木偶人形の「お華」と話芸を組み合わせた芸を見せる月草が、事件の謎解きをしていく連作短編集です。

↑kindle版


まことを見通す目を持つとされるお華の声は、月草が腹話術で出しています。もっとも作品中、「腹話術」という単語は使われていませんが。


短編といっても、すべての話がつながっていて、大きな謎が最後に解かれるという、畠中恵のお得意のパターンです。


出た時にはあまり魅力を感じなかったため、数年間読まずにいました。今回、たまたま図書館で見かけて借りてみたのですが、第1話では「やっぱ読まなければ良かった」と後悔しました。事実上のヒロインといえるお夏が、思い込みが激しく、突っ走る子で、あまり魅力がないからです。まぁ13歳だから、仕方がないんですけど。


でも2話目以降、しり上がりに面白くなっていきました。少々ややこしい設定を、作者が使いこなしてきたということかな。


読み終わった時には、続きがあったら読んでも良いかなとまで思うようになっていました。

↑文庫版

なおこの『まことの華姫』を手掛かりに、世界史について考察した記事も書きました。


続編の『あしたの華姫』の感想は、以下のとおりです。


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