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頭が活性化される~『生命の教養学VIII [対話]共生』(慶応義塾大学教養研究センター、鈴木晃仁編)~

*この記事は2018年11月のブログの記事を再構成したものです。


今日ご紹介する本は、慶応義塾大学で毎年行われている、理系・文系双方の先生が共通テーマで行う講義の内容を収録したものです。

とはいえ理系の先生は文系の学生にも分かるように、文系の先生は理系の学生にも分かるように、なるべく噛みくだいて話しているので、思うほどは難しくありません。といっても、このシリーズは今までずっと読んできたものの、理系の方の話は、私には表面的にしか理解できませんけど(^-^;


今回は理系分野の方では、全く同じアブラムシでも体内の共生細菌によって体の色や体格、そして集団内の役割まで決まってしまうという話が興味深かったです。実は人間にも、知られていないだけで、同じようなことがあったりしたら……うーん、怖いです。


文系分野の話では、医学モデルと社会モデルの対立の話が心に残りました。例えば医学モデルでは、「あの人は耳が聞こえないので、私の話が分からない」と捉えるのに対し、社会モデルでは、「私が手話とか筆談で伝えようとしないから、あの人に私の話が伝わらない」と考える、というものです。

車椅子の人用にスロープを用意するなどの配慮についても、それを「特別な配慮」ととらえるのではなく、「私にはすでに階段という配慮がなされているのに、車椅子の人には配慮がなされていない」と考える必要がある、というものです。階段は当然のごとくあるものではなく、多数者(健常者)向けの配慮である、という指摘は衝撃でした。そういう風に考えたことはなかったので。


たまにはこういう普段読まないような分野の本を読むと、頭が活性化されて良いですね。

見出し画像には、アブラムシの話が出てくるので、アブラムシの写真を使わせていただきました。




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