見出し画像

20年前の本だけど、楽しく読み進められる~『ヒヨコの猫またぎ』(群ようこ)~

ちょっと前に群さんのエッセイ集の感想記事を再掲したのをきっかけに、久しぶりに群さんのエッセイ集を読んでみました。


といっても最新のものではなく、図書館で適当に手にとったら、単行本としては20年前に発売されたものでした。

よって表紙には、懐かしのブラウン管のiMacの絵が描かれています。でもこのバージョンは1998年にグッドデザイン賞を受賞したそうで、今から見ても可愛いですよね。


冒頭から群さんのお母さんとの買い物ツアーの話で始まったのは、ちょっとうんざりしました。群さんのエッセイ集は、何だかんだで結構読んでいるのですが、お母さんの常軌を逸した買い物の話(30分で500万!)はあまり読みたくありません。親子間でいろいろ事情があるのでしょうが、なぜそこまでお母さんの暴走を許すのだろうと思っています。

もちろん群さんもそのまま放っているわけではなく、ウサギの「おじさん」を送り込んだり、いろいろ手は打っているし、こういう風にエッセイのネタにすることで、少しでも損失を補填しようとしているわけでしょうけど。

まぁ結果的には、その時の買い物ツアーでは大暴走はしなかったようですが。


しかし群さん、どれだけ稼いでいるのでしょう。お母さんと弟さんのためにお金を使わされてしまった結果、銀行口座に残っているのが55万円、というのが2つ目の話なのですが、予想より住民税が230万円、予定納税が800万円安くなって大喜びって、もともとの予想納税額はいったいいくらだったのか、想像もつきません。


それでも群さんが、何とかかんとかやっていけるのは、子どもの頃に占いで言われた、「お金は残らないけれども、一生、食べるのには困らない」という運の良さのおかげですね。


なんだかんだいって楽しく読み進められたのは、当時の群さんがだいたい今の私の年頃なので、書いてあることに頷くことが多かったからです。新年早々やる気がなかったけど、歌舞伎を観たら元気が出たという話の締めくくりの言葉が良かったです。

やる気がなくなったり、気分がふさいだりするが、このような楽しみがちょこちょこあれば、何とか二十一世紀もやっていけそうな気がしたのであった。

まさにそうですよね。いとうせいこうとみうらじゅんじゃないけど、上手に「自分で自分をあや」して、更年期を乗り切っていきたいと思います。



この記事が参加している募集

推薦図書

読書感想文

記事の内容が、お役に立てれば幸いです。頂いたサポートは、記事を書くための書籍の購入代や映画のチケット代などの軍資金として、ありがたく使わせていただきます。