作品の出来が、安定してきた~『てんげんつう しゃばけシリーズ18』(畠中恵)~
*この記事は2020年9月のブログの記事を再構成したものです。
「しゃばけ」シリーズの18冊目、1年遅れで読みました。
↑kindle版(*2021年6月24日に発売されます)
私が散々、作品の出来にムラがあると書き続けてきた畠中恵ですが、小説家デビューから約20年にして、去年出版のものぐらいから、ようやく作品の出来が安定してきた気がします。
今回の『てんげんつう』だけでなく、以前レビューした『わが殿』(上下巻)も、よく出来ているので。
今回はどの短編も登場人物が多く、誰が誰だか分からなくなりそうなところなのに、ぎりぎり上手に処理しているイメージを持ちました。
『恋の闇』は、お江戸版「ロミオとジュリエット」ですね。表題作の「てんげんつう」は、千里眼のことなのですが、千里眼の良い面だけを利用し、それに付きまとう嫌な面は回避したい身勝手さを描き出していました。最後の「くりかえし」は、毛虫とそれにかぶれるシーンが、読んでいて、こちらまで体が痒くなりました(T_T)
さて、次巻の『いちねんかん しゃばけシリーズ19』を読めるのは、また1年後かな? 図書館で順番が回ってくるのを1年待つ私のような人がいるんだから、本が売れないわけだわと思います。
↑文庫版(*2021年6月24日に発売されます)
記事の内容が、お役に立てれば幸いです。頂いたサポートは、記事を書くための書籍の購入代や映画のチケット代などの軍資金として、ありがたく使わせていただきます。