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続編が早く読みたくなる~『タスキメシ』(額賀澪)~

*この記事は、2020年5月のブログの記事を再構成したものです。


陸上の長距離をやっている高校生兄弟と、兄の友人たちをめぐる物語です。

↑kindle版


作者の額賀澪は「八咫烏シリーズ」の阿部智里同様、松本清張賞を受賞していますが、額賀澪の方が作家として上かな。


さて、『タスキメシ』の粗筋です。ケガをきっかけに引退を決意した兄は、自分よりランナーの才能がある弟の食生活改善のため、同学年の女の子に料理を習うようになります。わがままで偏食かつ小食の弟ですが、彼なりにお兄ちゃんのことは気にかけているんですよね。文章も読みやすく、テンポよく前半の「一、去る者」は読めたのですが……。


お兄ちゃんに料理を教えてくれる都と、その幼馴染かつお兄ちゃんのチームメイトである助川がメインの「二、追う者」に入り、失速しました。まぁラストが近づくにつれ、二人の話が大きい意味を持ってくるのは事実ですが、ちょっとダレた感はぬぐえません。


でも、最後まで思いがけないどんでん返しがいくつか用意されていて、物語としてよくできていると思います。続編の『タスキメシ 箱根』も図書館で予約済みなのですが、図書館が閉鎖されている今、さて受け取るのはいつになることでしょう。


なお、昨日2020年5月9日の「東京新聞」の有感のトップ記事は、「ネット書店在庫切れ急増 巣ごもり特需でも衛生品優先」というものでした。通販需要の過熱から配送拠点の業務が滞り、本の追加発注を制限した結果、ネット書店の在庫切れが急増している、とのことです。つまり生活必需品や衛生用品が優先で、本は後回し、という訳。出版社や取次にはちゃんと本があるのに、売ることができない状態なのです。せっかくみんなの読書欲が高まっているのに、あまりにひどい話。


確かにこの『タスキメシ』も、アマゾンは単行本はあるものの、文庫版は「一時的に在庫切れ 入荷時期未定」です(kindle版はもちろん即手に入るけど)。楽天ブックスは逆に単行本が品切れで、文庫版が買えます(kobo版ももちろん買えます)。

本というもの、そして人々の読書欲を軽く見ると、痛い目に合うと思うんですけどね。

<追記>

2021年7月現在、もちろんアマゾンでも楽天ブックスでも、単行本・文庫本共に普通に注文することができます。2020年5月当時の異常な状態の記録のため、上の3段落の文章はそのまま残しました。


↑文庫版


見出し画像には、長距離走のものと思われる写真を使わせていただきました。



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