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次回作に期待~『むすびつき しゃばけシリーズ17』(畠中恵)~

*この記事は2019年9月のブログの記事を再構成したものです。


以前も書いたとおり、この人は作品の出来にムラがあるなと改めて思いました。


「しゃばけ」シリーズ第17弾の今回は、全体的にちょっと残念な感じです。

↑kindle版


以下、各章の感想です。


「昔会った人」

若だんなと貧乏神金次の200年前の縁が語られます。現在を扱っているだけだとマンネリなので、若だんなの前世や来世に触れるものが、ちょこちょこ出てきていますね。


「ひと月半」

この話には、若だんなは出てきません。若だんな抜きで、妖たちだけで話を進めるという意味で、これもマンネリ回避の工夫と言えます。ただ、必要以上に登場人物が多く、ごちゃついた印象がぬぐえません。


「むすびつき」

今回、残念なのがこの話。若だんなと金次の縁をうらやましく思った鈴彦姫が、自分も若だんなの前世とむすびつきがあるはずと思い、暴走する話です。私の中で、鈴彦姫のポイントがガタ落ちしました。まぁ暴走の末、1つの神社の危機を救ったのですから、良いのかもしれませんが。


「くわれる」

「むすびつき」と並んで残念だったのが、この話。それこそ「むすびつき」同様、謎解き部分がナレーションベースというか、推測で片付けられているのです。しかも「むすびつき」はまだ、きちんと事件の結末まで書かれていますが、「くわれる」は唐突に終わり、結末が描かれていません。もちろん読者に結末を推測させるスタイルなのでしょうが、いくつもの小さな事件の結末がすべて放り出されているので、途中で終わっているようにしか思えません。


「こわいものなし」

これも何だかごちゃごちゃしている上、つっこみどころの多い話でした。ささいな事件の結果、人が一人死んでしまうのですが、人の死を話を進めるための手段にしてしまっている気がして、嫌でした。


これだけ文句を言いつつ、最新刊が出ると、やはり読みたくなってしまいます。ブレがあるだけに、次は面白いかもと、つい読んでしまうんですよね。


↑文庫版



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