大河ドラマにしてほしい~『わが殿 下』(畠中恵)~
*これは2020年8月のブログの記事を再構成したものです。
『わが殿』下巻、読了しました。
↑kindle版
上巻の終わりではまだまだ残っていた借金ですが、下巻の割と早い段階でほぼ返済の目途がつき、びっくり。「わしの打ち出の小槌」と殿に呼ばれた七郎右衛門の手腕、半端ないです。
ただ、もちろんそれで終わりではありません。時は幕末、移りゆく世に合わせ、大野藩も西洋のものを取り入れたりして、出費がかさんでいきます。そしてこんなに奮闘しているのに、それに伴う七郎右衛門の出世を快く思わない連中の魔の手が、次第に近づいてきます。彼らは、そもそも世の変遷を受け入れらないのです。
「昨日の方が、居心地が良くても」「明日へゆかねばなりませぬ」という七郎右衛門の言葉は重いです。七郎右衛門の足を引っ張ろうとする連中に眉をひそめている私たち読者もまた、どこかで昨日にしがみついていないか問われている気がしました。
幕末の荒波にもまれ、明治の洗礼を受けた大野藩の運命は、決して楽なものではありませんでした。でも七郎右衛門がいなかったら、もっとその運命は過酷なものとなっていたはずです。
NHKの大河ドラマで、1年間かけて観てみたい物語です。
↑単行本
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