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今は「染血の夢」計画の最中なのか~『創竜伝6<染血の夢>』~

気づかないうちに14巻・15巻が出て完結していたことに衝撃を受け、読み直しはじめた「創竜伝」シリーズですが、他に読みたい本・読まねばならない本がいろいろあるため、なかなか進みません(^-^

↑kindle版


↑新書版(私はこのバージョンで読んでいます)


ただ、14巻・15巻の存在を知る前から、このシリーズは読み直したいと思っていました。新型コロナウィルス感染症の流行が始まった時、「創竜伝」シリーズの中で描かれる「染血の夢(ブラッディ・ドリーム)」のことを思い出したからです。「染血の夢」はシリーズ中の悪役(といっても、ラスボスは別にいますが)である四人姉妹(フォー・シスターズ)による、「10億人を救うために、50億人を殺す」計画で、手段の1つとして人類の病気が想定されています。下っ端の悪役の一人であるタウンゼントの言葉を借りれば、こういうことです。

吾々はワクチンを各国の政府にしか売らない。ワクチンの量はすくなく、その価格はきわめて高価なものになるだろう。つまり、おのずと生き残る者は限定されてくるわけだ


まぁ本文の最後の次のページにあるとおり、「この物語はあくまでもフィクション」であるわけですが、田中芳樹はある意味で未来を予測してしまったのかもと、ちょっとだけ思いました。


以下、印象に残った部分。


この東洋人の少年は、「超能力者が精神力を集中させている最中に物理的な攻撃をしかけてはいけない」という原則を無視したのである。

これ、笑いました。確かにSF映画とかを観ていると、相手が技の準備(?)をしているのを、なぜ悠長に待っているんだろうと思いますものね。


私は日本の政治家をまったく信用しない。彼らは約束を守ったことがない。日本人全体が嘘つきなのか、政治家だけがそうなのか……

これは1989年末のマルタ会談の時に、ブッシュ(父)大統領がゴルバチョフ書記長に語った言葉として登場し、「有名な実話である」と書いてあるのですが、ひどいというより、情けなく感じました。それまでの政治家も、それ以降の政治家も同じな気がして。


おれたち、他の人たちよりちょっとばかし丈夫にできてるからさ、その分、他の人をちょっとばかし余分に信用してもいいんじゃないかな。始兄貴がそこまで気がまわらないとしたら、続兄貴やおれが注意してりゃいい。そう思わない?

これは主人公の竜堂四兄弟の三男である終が次男の続に言った言葉ですが、切り込み隊長のような終が持つ、意外に物事をよく見ている面をうかがわせ、印象的でした。


さて、なるべく早く7巻を読みたいものです。

見出し画像は、竜堂兄弟たちが黄大人にご馳走になったものとはだいぶ違うものの、これはこれで美味しかった飲茶ランチです。


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