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ヘタレっぷりを見るのも、これで最後~『お坊さんとお茶を3 孤月寺茶寮三人寄れば』(真堂樹)~

*この記事は、2018年11月のブログの記事に加筆修正をくわえたものです。


「お坊さんとお茶を」シリーズの最終巻です。短編が3本収録されています。主人公の三久のヘタレっぷりを見るのもこれで最後かと思うと、ほっとするやら、さびしいやら、といったところでしょうか。

↑kindle版


「秋の夜の月」で、三久がへとへとになるまでがんばり、限界だからこそ「ちょっとくらい」という気持ちでゴミの始末を怠ったら、ボヤ騒ぎにつながってしまうシーン、身につまされました。
ありますよね、そういうことって。「充分がんばっているんだから、これくらい手を抜いてもいいだろう」という甘えを、仏様や神様は見逃してくれないのでしょう。でも、甘えたくなるのが人間ですよね……。


表題作の「孤月寺茶寮三人寄れば」は、三久が孤月寺、そして憧れの空円和尚からの卒業を考え、でも踏み切れずに悩む話です。
せっかく悩みの果てに結論を出したのに、思いがけない形でその答えが与えられてしまうのはあっけないですが、意外とそういうものなのかも。ジタバタしても、実は答えを出すのは、自分であって自分ではないのかもしれません。


「カクゴのカクゴ」は、まぁおまけですね。完璧な空円和尚は、雲水時代もやはり完璧であったと。


見出し画像は、奈良の新薬師寺の門前です。孤月寺とは何の関係もありませんが、お寺の門前の写真ということで。


↑文庫版



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