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未来都市か不思議な世界か~『だるまちゃんとかみなりちゃん』(かこさとし)~

「ビッグイシュー日本版」(VOL.412 2021.8.1)の表紙に使われている『だるまちゃんとかみなりちゃん』、未読だったので読んでみました。


「ビッグイシュー日本版」では、「オール電化の未来都市」が登場するという説明だったので、どういう世界なのだろうと思っていたのですが、かみなりちゃんが住んでいる町のことだったのですね。

確かに絵をよく見ると、料理が自動で出てきたり、電話が無線だったり(昔ながらの黒電話からアンテナが出ている)します。いろいろなものに、雷様の角(アンテナ)が付いているんですよね。だるまちゃんが住んでいる世界に比べると、未来都市感があります。

でもそれは大人の目で見るから未来都市っぽいのであり、お話の中には「すべてが電気で動いている」というような説明は一切ないので、子どもの目では「何かちょっと不思議な世界」ぐらいかもしれません。でも発売は1968年なので、1960年代や1970年代の子どもにとっては、やはり未来都市かな。


一方で、まさに1968年発売ならではと思ったのは、「うきぶくろ」という表現。かみなりちゃんが「うきぶくろ」を落としたのをきっかけに、だるまちゃんと出会う訳で、いわばキモのアイテムですが、うーん、今の子どころか、それを読んであげる親御さんたちも使わない表現ですね。アマゾンの内容説明では、勝手に「浮き輪」と言い換えられているし。まぁこの絵本をきっかけに、「うきぶくろ」という言葉を覚えてもらいましょう。


見出し画像には、だるまの写真を使わせていただきました。だるまちゃんは性格はとっても可愛いですが、実は見た目は意外とがっつりリアルなだるまなので。子どもの頃「だるまちゃんとてんぐちゃん」を読んだ時は、自分が持っているのと同じようなリアルなだるまに白い手足が付いている描写が、ちょっと怖かった記憶があります。




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