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【読書】神仏大集合の巻~『百人組頭仁義 三河雑兵心得(拾壱)』(井原忠政)~

「三河雑兵心得」シリーズも、11巻となりました。

↑kindle版


侍大将になりそこなった茂兵衛、またまた問題児の教育を押し付けられます。

(どうして平八郎様は、ひねくれ者とか、阿呆とか、お調子者とかばかりを俺に押し付けてくるのだろうか……俺に、なんぞ恨みでもあるんかな?)

p.20

はたから見ると、「茂兵衛なら任せられる、育てられる」と思うからこそなのですが、茂兵衛にしてみれば迷惑な話ですよね。加えて迷惑なのが、家康の茂兵衛の使い方。

家康の本心はすでに決まっているはずだ。自分が嫌われ者にならなために、茂兵衛を当て馬に使っているだけだ。

p.42


とはいえ、必要なアドバイスは重臣たちが、ちゃんとくれているのも事実。

平八郎は、茂兵衛の身を案じて忠告してくれているのだ。今日に限って平八郎の顔が、菩薩か賢者のようにも見えた。

p.50

正信も茂兵衛に、事実上の侍大将として、平八郎の子分から一本立ちしろと言います。

「おまんは馬印こそ許されておらんが、役目の内容は『備』の頭領、つまりは侍大将と同じだということさ」
「はあ」
「戦場で誰の指揮命令も受けられんとき、徳川全体の損得を勘定して独自に判断を下すよう求められるのが侍大将である」

p.147


しかしこの巻、上記の平八郎が菩薩に見えた箇所に始まり、様々な神仏が出てきます。乙部が茂兵衛と辰蔵にとっての薬師如来に見えたかと思いきや、その乙部は茂兵衛に、こんな感想を抱きます。

(ああ、茂兵衛には、なんぞ守り神みたいなのが憑いとるのかも知れんなァ。(中略)神仏の加護があるのに間違いねェわなァ)

p.74~75

まぁ神仏のご加護がなければ、とてもこの11巻まで生き延びられないような修羅場の連続でしたし。


官位とは、官職と位階の両方を合わせた概念だ。官職は、安房守や佐渡守、中務大夫などの役職を指し、位階は、従五位したとか正二位やらの身分を指す。

p.94

これ、時々分からなくなるので、備忘録代わりに書いておきます。


兜の前立、脇立などは決して堅牢に取り付けられてはいない。材質も木や張り子ですぐに折れる。あくまでも飾りなのだ。

p.160

これも、最近知って納得がいきました。平八郎の鹿角の脇立をはじめ、兜の飾りが非常に重そうで、被っているだけで首がおかしくならないのかが、長年の謎だったので。


見出し画像は、大阪城の図柄のマンホール蓋です。


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