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【読書】お二人が末永く雑談を続けられますように~『雑談藝』(いとうせいこう、みうらじゅん)~

この本は、いとうせいこうとみうらじゅんのラジオ「ザツダン!」を書籍化したものです。

↑kindle版


話はあっちに飛びこっちに飛び、2人ともまぁ、喋る喋る。特にどれがどちらの発言かも気にすることなく、ずるずると読み進めることができます。


本書の表紙は、ソファーに座って楽しそうに喋っている2人の写真なのですが、見るからに仲の良さが伝わってきます。2人で雑談をしているのが、本当に楽しいのでしょう。そんな相棒を見つけられたことは、2人にとってとても幸せなことだと思います。


印象に残った言葉。

(みうら)「死語」って言葉が悪かったんだと思うんだけどさ。得意げに「それ、もう死語でしょ?」とか言う死語野郎がいるでしょ? (いとう)そいつらがものの価値の時間を短くさせてしまったんだね。

言葉すら消耗品になってしまったとは、嘆かわしい限りです。


(みうら)本堂だけキーンって地獄みたいな冷たさで。 (いとう)マグロを保管してるとこぐらいの寒さだよね。そこに一番大事な仏様をポーンと置いてらっしゃるじゃない。でも仏様って暖かいインドからいらした方じゃないですか。 (みうら)インドは暑いから仏様も半裸でいいけどさ、日本という季節がある国で、冬に半裸でクリスマスの日にあんな寒いお堂に立たされているんだもん。こりゃ可哀想だよ。 (いとう)あれは地獄の描写だよ。

これ、笑いました。2人がある意味大真面目であることが伝わるだけに、おかしい。


(いとう)悩んでいる中学生に言いたいよ。君のいる世界は狭いから大丈夫! (みうら)ま、今はじっくり悩んだほうが後の雑談に生きてくるからさ。中学のときに「人生なんてどうでもいい」なんて言っちゃうと笑いの貯金ができなくなるよ。

同感です。ま、通ってきた道ではあるわけですが、中高生や大学生の悩む姿を見ていると、なんていうか、「もっと広い世界で勝負しろ」と言いたくなるんですよね。視野が狭くてかないません。


(みうら)若い人に会うと嬉しくて、ついつい長く話してしまうのは、新しい脳みそに自分の考えを植えつけようとしてるからだよね。(中略)まだふやけてる新しい脳に、自分の記憶をグサッと刺しておきたいわけでさ。そんなもの刺された若い人たちは大迷惑だろうけどね。

ははは、これも同感ですが、若い人の迷惑も考えなければいけないと、自戒します。ま、私の場合は、職業から植えつける必要もありますが。


(みうら)俺の親父が何かにつけ「毎朝、頭を三十六回揉むんやで」って言い続けてきた。

みうらさんはいとうさんによれば、「白髪もないし、抜けないし」だそうです。その秘訣は三十六回のマッサージですか。やるようにしようっと。


(みうら)世間的に流行ってるものって三つくらい疑問を含んだまま正々堂々としてるものなんでしょ。(中略)三つ以上の「突拍子」が揃えば、逆に「突拍子もない」ってことになるんだよね。

なるほど。深いかもしれません。


(みうら)「同じことを思ってたんだ」という喜びがあるのが雑談の醍醐味だよね。(いとう)「あ、わかるわかる、それってこういうことでしょ?」「それそれ」って言ってるのが面白い。(みうら)そうそう、そうやって協調するのが雑談なんだよね。

雑談の真理にまでたどり着いたお二人が、末永く雑談を続けられるよう、お二人のご健康を祈ります。


見出し画像は、同じ時期に偶然京都と東京でお二人が通信空手をやっていたというエピソードが本書に出てくるので、空手のものを使わせていただきました。しかし、みうらさんの通信空手の話は別の本でも出てきますが、いとうさんも同時期にやっていたとは知りませんでした(^-^;


↑単行本




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