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「合わせる」必要はない~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.463 2023.9.15)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事、第66弾です。そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。


今号の特集は、「”有事”を防ぐ」です。

「米軍は(中略)再び中距離ミサイルの開発を始め、日本やフィリピンに配備しようとしています。これに合わせて、日本も中距離ミサイルを1000発以上持つことを決めました」

p.10

「合わせ」る必要はまったくないし、「1000発以上持つ」必要もないと思うのですが。


米国に合わせるかたちで、日本政府は22年12月に「戦後の防衛政策の大転換を公表した。「安全保障3文書(国家安全保障戦略。国家防衛戦略・防衛力整備計画)が閣議決定され、敵のミサイル基地などを攻撃する”敵基地攻撃能力の保有”が解禁されました。さらに、27年度には防衛費と関連する経費を合わせて、これまでのGDP比1%から2%に増やすことと、23年度から5年間の防衛費として43兆円を確保することが決まりました。米国はかねてより、NATO諸国や日本に防衛費をGDP比2%以上にすることを要求してきましたが、その求めに応じたかたちです」

p.10~11

だから「合わせる」必要も「求めに応じ」る必要もないでしょうに。


「インドネシアの外務大臣は、昨年9月の国連総会で『私たちは新たな冷戦の駒になることを拒否する』と宣言。(中略)ASEANは19年に採択した『インド太平洋構想』でも”対話と協力のインド太平洋地域を目指し、誠実な仲介者としての役割を果たしていくこと”を明言しています」

p.11

日本がすべきことは、これだと思うのですが。


一連の流れを三牧(聖子)さんは、「日本が米国を訪問するたびに新しい案件が出てきて、国民には合理的な判断材料が与えられず、聞かされてもいないことが次々と決まっていく。国民が元に戻したいと望んだ時には制度化されていて戻せない。とても民主主義的な決定プロセスとは思えません」と憤る。

p.12

同感です。


「米国は台湾有事のシミュレーションばかりしているわけではありません。有事を回避するさまざまな外交努力もしています。現バイデン政権には、相手が強硬論を強めている危機的な時ほど、誤解を恐れて外交努力で対話のチャンネルをつくろうとするバランス感覚があります」

p.13

これは覚えておくべきことですね。


「例外主義とは、”米国は物質的にも同義的にも比類なき存在である”という考え方。米国は、中国が台頭してくる2010年代までは、経済力も軍事力も世界で突出した”物質的に優越した国”でした。さらに、”道義的にも正しい国”を自負し、過去の帝国と違って腐敗も衰退もしないと考えてきました。この例外主義は、米国という高潔な国は、戦争ばかりしている世界となるべくかかわるべきではないという孤立主義の対外政策を生み出しました。しかし、20世紀に起こった2つの世界大戦を経て、孤立主義は放棄され、代わって世界秩序の盟主を自負し、世界に大々的に介入する米国が誕生しました」

p.13

例外主義という概念は初めて知りましたが、西部開拓と領土拡張を正当化するマニフェストデスティニーの考えも、アメリカには民主主義の概念を広める道徳的使命があるという宣教師外交の考えも、ここから出ている気がします。


Z世代は(中略)デモなどの抗議行動にもアクティブで、手法はラディカルに見えます。ただ、ラディカルには急進的だけでなく、本質的という意味もあります。国益や国境にとらわれず、世界の人々と問題を解決しようとする姿勢は、”例外主義世代”が見ないようにしてきた問題に向き合い、本質を問うという意味でラディカルな世代だと言えます」

p.13~14

ここで書かれているのは米国のZ世代のことですが、日本のZ世代はちょっと違うようです。


「国民に説明もなく防衛費増大や防衛増税が進められるなど、国民をかえりみない政治が行われる今、政権交代する仕組みを構造的につくることが絶対に必要です」

p.14

同感です。


特集以外では、まずスペシャル企画のジェーン・バーキンが印象的でした。

2011年4月6日、(中略)乗客がほとんどいない日本行きの飛行機に、たった一人、ジェーン・バーキンは乗り込んでいた。当時、重い病との闘いを続けていた64歳のジェーンは、東日本大震災のニュースを病院のベッドの上で知った。そして心配でたまらなくなって「何もしないでフランスにいるのがつらく」なり、週に3回の点滴が必要な容態にもかかわらず、単身で日本にやってきたのだった。

p.05

これを読んで、涙が出そうでした。


ジェーンの次女シャルロット・ゲンズプールは、(中略)母ジェーンの哲学をこんなふうに表現している。
「人生を警戒せず、人を信じ、すべてに興味を持ち、寄り添う」。(中略)
その言葉通り、ジェーンはよく「人間には善意がある」と口にした。そして愛を歌うだけでなく、行動によってそのことを伝えようとした。
「ものを書く人は書くことで、コンサートができる人はそれで、あるいはデモ行進でも手紙を書くでもいいの。そういう人たちが多く集まれば現状を変えられるって、私は信じているの」

p.06

ジェーンのようでありたいです。


「世界短信」に、スペインのセビリアの話が載っていました。街路樹として植えられている4万8000本のオレンジの年間570万㎏もの実の処理に、毎年約200人が雇用されているので、廃棄オレンジを発酵させてメタンガスを回収し、クリーンエネルギーを生み出す取り組みを開始した、というものです。

スペインに行った時、街路樹のオレンジは食べられないと聞きましたが、同時にイギリス人観光客が「マーマレードにすれば食べられる」と言ったという話も聞いたんですよね。メタンガスにする前に、マーマレードにすればいい気がするのですが……。


「ビッグイシュー日本版」のバックナンバーは、街角の販売者さんが号によってはお持ちですし、サイトからは3冊以上であれば送付販売していただけます。


コロナ禍のあおりで、路上での「ビッグイシュー」の販売量が減少しているそうです。3ヵ月間の通信販売で、販売員さんたちを支援することもできます。


もちろん年間での定期購読も可能です。我が家はこの方法で応援させていただいています。


見出し画像は、今号が入っていた封筒のシールです。「小商い」で発送作業をしてくださった杉浦さん(でしょうか?)、いつもありがとうございます!



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