共に壮絶な差別を経験してきた、野中さんと辛さんの対談集です。
↑2,183円という値段になっていますが、本来の値段は税別724円です。古本は1円からあります。
内容があまりに壮絶で、安易なレビューは出来ませんが、心に残った箇所をまとめておきます。
辛さんの「まえがき」からの引用ですが、差別の本質が凝縮されている気がします。
これも辛さんの言葉。納得がいきました。
これも辛さんの言葉。手厳しいですが、本質をついていると思います。
愕然としたのは、旧日本軍内における部落差別。互いに助け合わねば生き抜けない戦場で、部落差別なんてしている場合ではないはずなのに、実際に行われていたわけです。
これは知りませんでした。
阪神淡路大震災の時、なぜ神戸の永田が壊滅的な被害を受けたかの、辛さんの説明です。
私自身は「君が代」は歌いますが、アメリカのやりかたの方が正しいと思います。
これは野中さんの発言を辛さんが引用したもの。触発的に、つまり世羅高校の校長の自殺をきっかけに、言うなればぱっとやるようなことではなかったはずなのに。反省しても、もう取り返しはつきません。
このやり取りも、印象的でした。
これは辛さんの言葉。沖縄は復帰して良かったのか良くなかったのか、考えさせられます。
これ、知りませんでした。辛さんによれば、「日本の中央メディア」は「ちっちゃくしか報道しなかった」そうですが。
小泉さんが訪朝に際し、そんな失礼なことをやっていたことも知りませんでした。この後北朝鮮との関係がこじれていく一因となったのではないでしょうか。
これは辛さんの、「今後おやりになりたいことは何でしょう?」という質問を受けての野中さんの答えです。やりきらないうちに、野中さんが2018年に亡くなってしまったことが残念です。
これは辛さんの言葉ですが、すごく重いです。差別される側に寄り添いたいし、寄り添っているつもりなのに、最後の最後で寄り添いきれないことは、私自身も含め多くの人にあるのではないかと思いました。
これは野中さんの「あとがき」での言葉。あえて名前も書きたくないイニシャルAのあの政治家については、本書でも書かれているのですが、心底差別意識が染みついているから、あのような言動が取れるのだと、よく分かりました。
全体的に初めて知ることも多く、非常に勉強になりました。眼をそむけたくなるような差別の実態が描かれているものの、対談という形式だから向き合えた気もしますし、差別されている当事者たちの生の言葉だからこそ重かったです。
不思議なのは、本書がすでに絶版なこと。電子書籍化もされていません。絶版になっていること自体が、差別の実態を隠そうとする試みではないかとすら、疑ってしまいます。
本書は2009年初版ですが、内容的にまったく古くありません。いや、本当は古くなっていなければいけないのに、古くなっていないことが悲しいです。
ともあれ現在でも読むべき内容だと思うので、せめて電子書籍として復刊すべきだと思います。