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読んだ本の感想です。基本、ネタバレはありません。
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2024年7月の記事一覧

【読書】民間交流の大切さ~『中国拘束2279日 スパイにされた親中派日本人の記録』(鈴木英司)~

現在の中国が抱える問題の一部をあぶりだした本です。 ↑kindle版 著者の鈴木英司さんは日中関係を良好なものにするため、日中交流を盛んにしようと長年尽くしてきた人です。 本当に。中国はむしろ、この方を大事にすべきでした。 無実の罪で6年間も拘束された怒りもあり、繰り返しが多く、読みにくいところもあります。だからこそ、無念の思いが伝わります。 当局のつくったストーリーに沿って逮捕され、取り調べを受け、裁判に臨むのでは、有罪になるしかありません。 大変な思いをされた

【読書】この戦争の責任は~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.483 2024.7.15)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事、第86弾です。そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。 今号の特集は、「海洋生物国の小さな水族館」です。 深海生物の展示数世界一という、愛知県蒲郡市の竹島水族館副館長の戸舘正人さんの言葉です。そうか、驚かれるのか……。 上が戸舘さん、下が館長の小林龍二さんの言葉ですが、共に深海生物への愛に満ちています。 「毎朝漁港から譲り受ける地域の海の生き物だけを展示する」(p.12)むろと廃校

【読書】広い世代に役立つ~『この世でいちばん大事な「カネ」の話 新装版』(西原理恵子)~

西原さんが、自らの半生と共に「カネ」について語る本です。小中学生を主な読者に想定していると思われますが、もちろん大人が読んでもためになります。 ↑kindle版 西原さんが幼少期を過ごした高知の浦戸の話ですが、おいおいという感じですね。 ともあれ、実体験から出てきた西原さんの言葉は、どれも真実です。 かなり困った人だった西原さんの2番目のお父さんですが、この言葉が西原さんを救います。 金言です。最近は就職して1年以内に辞めてしまう若者が増えているそうですが、彼らに聞

【読書】あと何人殺されれば……~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.482 2024.7.1)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事、第85弾です。そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。 今号の特集は、「”選挙”の季節に」です。 「大学時代に留学したデンマークで、若者たちが政治について当たり前に話す姿を目にした」(p.8)能條桃子さんですが、単にデンマークに代表される北欧を理想化するのではなく、日本の現状を変えていこうと奮闘する姿には敬意が持てます。 能條さんが代表を務める、20・30代の女性地方議員を増やし、政

【読書】千鳥ヶ淵は水瓶~『奥州仁義 三河雑兵心得(拾参)』(井原忠政)~

「三河雑兵心得」シリーズの第13巻です。 ↑kindle版 茂兵衛は今巻では(今巻でも?)、大移動です。高野山から駿府城に戻り、江戸に引っ越した後、奥州に行かされます。ありえないほどの大移動です。 何と、わざと悪路のままにされていたとは。 茂兵衛の暴力(今回の場合は耳を掴む)は本多正信に言わせると、「愛嬌と軽みのある暴力」(p.26)だそうですが、茂兵衛ならずとも、今一つよく分かりません……。 茂兵衛の娘の綾乃が茂兵衛を「父上」と呼ばず、「もへえ」と呼び続ける理由が

【読書】織姫と彦星がデートできる世界になりますように~『聖☆おにいさん(21)』(中村光)~

前巻同様、発売されていたことに気づいていませんでした。 ↑kindle版 マンネリではありますが、もはや心地良い境地に入っています。 冒頭、天界に呼び戻される時が来て、バカンスもついに終わりかと思いきや、ネット問題でした(^-^; 弱り切った天のお父様の気持ち、よく分かります。しかし困ったときのセリフが「OH I AM GOD‼!」とは。ブッダ同様、「そうやって言うんだ」と思いました。そしてガブリエル、大事な手紙を『新約聖書』の間に仕込むとは……。 イライラしたブッダ

【読書】今、言っておかなければ~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.481 2024.6.15)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事、第84弾です。そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。 今号の特集は、「まちに座る」です。 日本各地の、まちの中に座って休める場所としての椅子やベンチを置く取り組みをしている人たちの記事で、興味深く読みました。418号では、「自分で椅子を運んで好きな場所に座って時を過ごす」(p.12)チェアリングが紹介されていましたが、今号で紹介されているのは、「ご自由にお座りください」と、時には私有

【読書】何をやるかのほうが大事~『成瀬は信じた道をいく』(宮島未奈)~

『成瀬は天下を取りにいく』の続編です。 ↑kindle版 前作同様のマイペースな成瀬ですが、以下の部分は意外でした。 それほどの衝撃を受けていたとは。 しかしパトロールの腕章、自腹で買うとは……。 成瀬、かっこいい! 生徒に聞かせたい言葉です。 成瀬の父親の慶彦同様、喜んでいたとは初耳でした。 成瀬の陰に隠れているけど、確かに周囲の人々も意外とすごいです。 この会話、バスの中で読んでいて、吹き出しそうになりました。 これも笑いそうになりました。普段どおりナチ