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人数合わせなのに富士急でいい感じの2人の邪魔しちゃってごめんねごめんね〜!

まだ20代前半、会社では新卒一年目でキャピキャピしてた頃。
割と大きな会社なので同期が多くて、職種を超えると50人以上はいた。男女比もバランスよく、カップルもチラホラ。今思えば青春してたと思う。自分もちゃっかり同期と付き合っていた。相手にロリコン疑惑があって別れたけど。

ある日、同期から富士急に行こうと誘われた。正直その同期のことは嫌いだったのだが、6人だし富士急に行ったことがないから誘いに乗ってみることに。
しかし数分後に「本当は他の子声かけたんだけど断られちゃってさぁ〜」と言われた。私が彼女を嫌いな理由はまさにこういうところにあった。わざわざご丁寧に人数合わせだと教えてくれなくて良いのだよ。

行くメンバーを確認したところこんな感じだった。
男:ABC
女:DE私

A,B,D,Eはなんとなく仲の良さそうな4人で、Cと私ははっきり言ってオマケだった。でもCに「あんたもオマケでしょ?」とも言えないので、勝手に心の中の友とした。
ここまで読んでいて「なんて歪んだ人間だよ」と思われたかもしれないが、そこはちゃんと自覚しているので安心してほしい。

富士急への道中は、Aが車を運転してくれた。なんだかんだドライブでテンションが上がって普通に楽しんでいる自分がいた。いつもこうである。
そしてディズニーランドでしか絶叫マシンに乗ったことがない私は、この後自分の絶叫耐性が全く強くなかったことを思い知らされる。

まずは高飛車に乗った。Rの形にジェットコースターが進むやつだ。なんだこの角度、ありえないだろ!真っ逆さまにされ、「おえええええ」と叫んだ。もうこのメンバーの中で私に惚れる男などいない。
でもなんとか無事に乗り終え、「これが1番話題のやつだから、あとはきっと大したことないだろう…」そう思った。

次に、ええじゃないかに乗った。スタートする時にスタッフが「ええじゃないか、ええじゃないか♫」と手拍子をしていて、私もノリノリで出発した。
しかし、数秒後には自分の顔に死相が現れていた。ただ回るだけではない。ジェットコースターの座席そのものが回転しながら進む。

「今日ここで死ぬかもしれない」と本気で思った。何度も足が地面に着きそうになり、怖すぎて絶叫もできずただただ白目のまま振り回された。
YouTubeのコメント欄を見たら、同じような人が多かったので安堵。やっぱりみんなええじゃないかで死を覚悟するらしい。
ちなみに絶叫マシンに乗った後吐いたのは今のところこれが最初で最後。

色々乗って「他にもう怖い乗り物は無いはず!」と安心していたら、お化け屋敷に行くことになった。乗り物以外に怖いアトラクションがあるのをすっかり失念していた。

富士急のお化け屋敷はよくテレビでも紹介されていたのでレベルが高いことは知っていた。
何かの番組で松本明子とヒデちゃんがお化けに驚いて椅子からひっくり返ったのを見て爆笑したのを覚えていたので、そこの仕掛けには驚かなかった。他は怖いから何も見ずに進んだ。目は開いてるけど視界と心を閉じることはできる。

通路の少し先に出口が。やっと出れる!と思ったのも束の間、後ろからオバケが全速力で追いかけてくるではないか。

「ギ、ギ、ギェェェェ!!!」

私は前を歩くメンバーを掻き分けて1人で猛ダッシュした。私史上1番速かったと思う。
外に出てしれっとした顔で「ふっ…ちょっと怖かったわね」とクールぶった。

そういえば人を掻き分ける時、AとDがちゃっかり手を繋いでいたぞ。Aには社外に彼女がいたはずなんだが。私は2人の手繋ぎを引き裂いてダッシュしたのだ。なんという空気の読めなさだろう。
まぁでも、その2人も堂々と外で手を繋ぐことはしないだろうし、きっと手を解く良いタイミングだったに違いない。うん。

帰りの車の中、1番後ろの席でそんなことを思いながら座っていた。
ふと気づくと、前の列のBとEにもなんだかしっとりした空気が流れているではないか。Aは彼女がいるからどうでもいいとして、この2人は何かありそうだぞ。
そう思って、後日他の同期に軽く聞いてみた。

「BとEって付き合ってるの?」
「えっ!知らない!なんで?」
「なんかしっとりしてたのよ」
「しっとり…?」

そんな会話をした半年後、Eから怒涛の愚痴を聞かされることになる。

「Bがさぁ!あ、私Bと付き合ってたんだけど、海外旅行いった時に貸したお金全然返さないからこの前あいつの部署に乗り込んで請求してきた!てか付き合ってるの気づいてたんでしょ?wなんで分かったの!」

情報量がすごい。とりあえず言えることは、お金返さない男はサイテーである。

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