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暁の寺(タイ・バンコク)

1.プロローグ

わずか数か月前にそこにいたことが、夢のように思える。確かに夢のような時間だった。

タイを訪れたのはたしか7度目。美しい海の豊富なこの国、ひたすら海辺の土地を旅してきたが、暁の寺を訪ねることはずっと夢だった三島由紀夫の小説の世界が、そのままそこに在るような気がして。

各地を自由に旅することができた、きのうまでの世界の出来事も、大切に書き残してみたいと思う。順番は前後するかもしれないが。

2. 暁の寺

2019年11月。暁の寺、ではあるが、夕日に染まる瞬間を見たかった。予約してあった、暁の寺が見渡せるカフェに着いたとき、太陽が真っ赤になって沈み始めていた。チャオプラヤ川を行き交う船。ビールを片手にその光景を眺めていると、幸せがこみあげてきた

ゆっくりと空が染まってきた。見事なサーモンピンクに。染まった空に浮かび上がる暁の寺はひときわ優雅で、テーブルに固定しサイレント撮影モードにしたカメラのシャッタ―を切り続けながら、いつまでも見ていた

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どれくらい時間が経ったか、ふいに、カフェの屋根を猫が通り過ぎていった(猫好きの私の旅では、手招きするように猫が現れる、どこに行っても)。それを合図にしたかのように、空は闇に変わり暁の寺がライトアップされたその至福に、対岸から感謝の祈りをささげた

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心いっぱいに満足して川沿いのホテルに戻ったら、窓の外で予期せず花火が上がった!!!すっかりとろけていたので、頭も手もまわらず花火は撮れなかった。

3. 一夜明けて

興奮のあまりよく眠れないまま朝を迎え、ホテル近くに早朝スナップに出掛けた。早朝から沢山のバイクが走り、あちこちで人々が話し合ったりしていた。

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トゥクトゥクを見つめる瞳、瞳、瞳(壁画です)

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早朝の喧騒を横目に優雅なひとときを過ごされる紳士(目線でご挨拶)

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早朝スナップから戻ったとき、やはり猫が現れた。誇らしげな顔で空を見上げたあと、ちらっとこちらに目線を送ってくれた。「良い旅だったね」と言ってくれたのだろう。

いつかまた行ける。きっと。祈りを込めて。

読んでいただき、ありがとうございました💕

小説『暁の寺』、もしまだでしたら。



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