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天満ナンパ物語 みなみ編②
店に入ったものの、二人組が奥の席に案内されてしまい、荻野は一人であったため、手前のカウンター席に案内された。隣には韓国から観光に来た徴兵終わりの若者が座っていた。
女性の会計にタイミングを合わせ、荻野は二人組に声を掛けた。
「すいません、二人で楽しんでいるところ。同じ店で食事していたら二人の姿が目に止まりまして。よかったら、このあと一緒に呑みませんか」
片方は満更でもなさそうに笑い、他方は困っ
天満ナンパ物語 みなみ編①
大学を卒業してはじめて、荻野は多くの独身者が言う「出会いがない」という言葉が理解できた。
平日は朝から晩まで黙々とパソコンに向かい、休み時間も誰かと会話をする訳でもなく携帯を触る。一時間の休憩とは短いものだ。荻野は自分の現在の生活に嫌気はさしていないがぼんやりとした不満はあった。なにか違う、と。
八月の三連休を目前にして、荻野は気分が上がっていた。なにか新しいことをしたい。荻野はスーツを脱