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両親一緒に暮らした事のない息子

私は娘が2歳半の時に、元旦那の浮気がきっかけで離婚する事になった。

その時はまだ、誰も息子の存在に気付いていなかった。

私でさえ、自分の妊娠に全然気付いていなかったのだ。

2人目の子供はずっと欲しいと思っていた。

だけどなかなか出来なかったので、まさかこのタイミングで妊娠しているとは夢にも思っていなかったのだ。

無事に弁護士が見つかって、精神的に支えてくれていた同僚にその報告をしていた時。

「そういえば生理が来てないんだよね〜」と何気なく同僚に言った。

多分ストレスのせいだよね、と私も同僚も思っていたが、とりあえず確認だけはしておこうと、そのまま一緒に会社の近くの薬局に行った。

そして、翌朝に検査するように言われたにも関わらず、1人で確認するのが怖くて、買ってすぐに会社のトイレで検査をしたのだ。

すると、すぐに陽性反応が出た。

私、妊娠している。すぐに確信した。

それからすぐに産婦人科に行って、詳しい検査をしてもらった。

妊娠7週目だった。

正直、その時は産むかどうかまだ迷っていた。

離婚が決まって、日本に帰っちゃダメと元旦那に言われて(ハーグ条約の関係で、元旦那の許可無しに娘を連れてベルギー国外に出れない)、自分の家族もいない異国の地で、自分1人で娘を育てていく事に対してすでに大きな不安を抱えていたのだ。

子供2人。本当にベルギーで1人で育てていけるのか????

その不安を産婦人科医に伝えた。

すると、「妊娠8週間目までだと、手術ではなく薬で流せます」と言われた。

息子のエコー写真を見て、すごく申し訳ない気持ちになった。

娘の時は、皆で大喜びしたエコー写真。

同じ命なのに、どうしてこうも違うのだろう。

その時は決断出来ず、そのまま家に帰った。

その後は、悩みに悩んだ。

こんなに悩んだ事は人生で一度もないというくらい、悩み倒した。

そして結局、私は中絶可能期間ギリギリまで悩んで、中絶手術の予約をするところまで行ったのだ。

その間に、元旦那にも妊娠の話をした。彼がどう思うのかも伝えた。

彼は多分あまり興味がなかったのだと思う。

「好きにすればいいよ」と言われた。

中絶手術前夜。私はまだ迷っていた。

そして、信頼している先輩に連絡した。

すると先輩は私に「不安ベースで決断するんじゃなくて、自分は本当は何がしたいのかで決断すればいいよ」と声をかけてくれた。

自分のしたい事って何だろう?

朝方まで考えた。

そして気付いたのだ。

私は子供達が笑顔で遊んでるところが見たい。

ただそれだけ。

不安で自分のしたい事が見えていなかったんだと気付いた。

そして手術日当日、病院に電話をして手術をキャンセルした。

妊娠中も元旦那からの協力なんかは一切無し。

全て1人で乗り越えてきた。

大きいお腹で、日常の生活をこなしながらの離婚裁判準備、引っ越しもしたので、本当に大変だった。

だけど今、2歳になった息子を見て思うのは、本当に産んで良かった!という事だ。

むしろ、中絶しようと考えていた自分が恐ろしいくらいだ。

そんな息子は、産まれた時から両親は別れていたので、両親揃っての生活をした事はない。

でも、姉弟で楽しく遊んでいる姿を見ると、そんな事は別に重要な問題じゃないと思う。




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