選挙

たよりますか

甘えてくださ~い!

統一地方選がはじまり、宣伝カーががなり始めたが、一瞬、耳を疑った。
初めて名前をきく候補者が「●●でございます。甘えてくださ~い!
と、声を張り上げていたのだ。そ、そのフレーズ、新しいかも…

ただ、いくら私たちが平和ボケしていると言っても、見ず知らずのおっさんにいきなり甘えるほど、ユルユルな市民がどれだけいるだろうか。
次また通りかかって「甘えてくださ~い!」って、がなっていたら、
「100万円貸して欲しいんですけど」って、申請してみようかな。

今回の市議選は、全国で総定数6726に対して、8063人が立候補したので平均競争率は1. 2倍。今年の東大入試が平均倍率3.2だったから、東大目指すよりハードルが低そうだ。お金はかかりそうだけど。

1か月くらい前、地元担当のベテラン議員が駅前で拡声器を握りしめていた。「普段、なりを潜めている(というイメージの)あの議員が動き出したということは、そろそろ選挙が始まるのかな」と、うすうす感じていた。残暑きつい9月末、コンビニのレジ横におでんが並ぶのを見て「そろそろ秋が来るのか~」と、しみじみするような恒例の風物詩だ。

正直、議員たちが普段何しているのか、政務活動費は何に使われているのかわかっていない。一応、”議会だより”みたいな刷り物は定期的にポスト投函されているけど、じっくり目を通すほど、自分の可処分時間に余裕がない。有権者として努力が必要だ。

そういえば、都知事経験者の息子の二世議員さんが、近所のスタバで午前中から一人でスマホをいじっているのを見かけることがある。(別にいついじろうと本人の自由だが)いまどきの議員さんは、スタバでも政治活動するんだな。政務活動費の使い途がひとつわかったのでホッとした。

かつて、同い歳の知り合いが若くして衆議院議員を務めていた頃、「パーティやるから来てよ」と、招待された。「招待」というと聞こえはいいが、政治資金にあてる会費を集めたいのだろう。

私は、仕事のスケジュールで都合がつかないとわかっていたが、本人が20代の頃からがんばっていたことをきいていたので、応援するつもりで会費だけ振り込んでおいた。金額は、新幹線のぞみ号の自由席で東京・名古屋を往復できるくらい。(グリーン車に乗るには不足する)

パーティにどれくらい集まったか(来場者の数ね)わからないが、そういう場に行ったことなかったから、なんか盛り上がり感とか、一言くらいフィードバックがあってもよさそうなもの。全く音沙汰無し。東京・名古屋往復分くらいの会費でみみっちいこと言うつもりはないが、「いただきました!」くらい、お年玉をもらった未就園児でも言えると思う。まぁ、自分は不在者投票する有権者くらいにしか見られていなかったのか、それとも東京・ワシントンを往復できるくらい振り込めば「サンキュー」って、言ってくれたのか…

とはいえ、その後も事あるごと「今、●●県から東京に帰る途中で~す」みたいな、一斉メールの俺通信だけは送られ続けてきた。

やがて訪れた次の選挙。彼が所属する政党は大敗して、本人も落選。センセイから市井の人になった。するとまたメールが来た。一斉メールではなく、私個人宛てだ。「元気?まだテレビの仕事やっているの?なんか出られる番組とかないかなぁ?」だって。

あ~ 甘えてきたぞ。

一瞬、脱力してしまうトホホなエピソードで申し訳ないが、私は思わず「すげぇ」と感心してしまった。これくらいのメンタルの強さを持っていないと議員ってできない仕事なんだろうと教えられた。

テレビに出るには、何か理由がないと出られない。視聴者に「今、見たい」と思わせる理由だ。今度、テレ朝の「しくじり先生」でも紹介しようと思う。みんなが彼を見たいかどうかわからないけど…


この記事が参加している募集

沖縄出身のお笑い芸人さんが命名してくれたペンネーム/テレビ番組の企画構成5000本以上/日本脚本家連盟所属/あなたの経験・知見がパワーの源です