
パスタの食べ方
私はいつもフォークだけでパスタを食べる。不器用な私はフォークでしか食べられない。以前、本場イタリアではフォークのみでパスタを食べると聞いて、助かったと思った。
不器用なアメリカ人がスプーンも使い出したのが広まったという通説があるが、パスタを食べるときフォークしか使えない私は、スプーンとフォークの両刀遣いでキレイに食べる人を見ると、逆に器用だなぁと見とれてしまう。
もう何年も前にパスタ屋さんで、シュッとしたサラリーマンのお兄さんが一人でスプーンとフォークで流れるように食べているのを見た。彼はきっと仕事でも何でもスマートにこなせる人なんだろうと勝手に想像してしまった。
イタリア人は、フォークだけでどう食べるのだろう。
以前私がテレビで見たイタリア人家族は、長いパスタを巻かずにフォークにひっかけ口に入れると、口に入りきらなかった麺達を躊躇なく前歯で噛み切っていた。噛み切られた麺達はまたお皿に。こう書くと下品に感じるかもしれない。けれど、彼らの噛み切り方のせいなのか、とても美味しそうだった。私は、それを見て衝撃を受けた。噛み切ってる、でも、美味しそう、と。
もちろん、上品な一口大に巻き付けた麺を口に入れるのが、エレガントでお行儀のいい食べ方なのは間違いない。きっと本場イタリアでも、それが一番の食べ方なのだろうと思う。
でも、試してみたい。あのイタリア人家族のように、カジュアルにさっとパスタを口に入れて、ぱっと前歯で噛み切るこなれ感を真似したい、と日本人なのに思ってしまった。
そのこなれた食べ方を見てからは、私はパスタを食べる時、前半はお行儀良く食べているものの、後半は無性にパスタを噛み切りたい衝動に従うのが常となった。
最近久しぶりに、美味しいイタリア料理をお店でいただいた。パスタ登場。あのイタリア人家族の食べ方をまた思い出した。
後半、例によって衝動に負け、パスタをわさっとフォークにかけて、噛み切った。ん、なんとなく自分の周りの空気が1ミリぐらい重くなった感覚がした。その食べ方はどうなのと周囲の人達から責められているような。。が、衝動は止まらない。
イタリアではこうやって食べる人達もいるんだって~、なんて言い訳ができない場面では、ただただ顰蹙を買う食べ方なのだと思う。ああ、わかっていたのに。
でも、イタリア料理って、美味しい!
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