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マップボックス・ジャパンCEO高田のマガジン

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マップボックス・ジャパンCEO 高田徹の記事をまとめたマガジンです。
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記事一覧

Web3と地図──「集合知」は「公共性」につながる

2022年の年末からビジネス系メディアの話題は「ChatGPT」一色といった雰囲気もありますが、今回はあえて「Web3と地図」について取り上げたいと思います。 「Web3と地図」を考えるきっかけとしてご紹介したいのが「Hivemapper(ハイブマッパー)」というWeb3プロジェクトです。 概要については、下記Webサイトに簡潔にまとめられています。 一言でいえば、「専用カメラをつけて運転することでトークンを獲得する」プロジェクトです。 少し小難しい話をすると、「ハ

「独学し放題」の時代──深掘りに必要な「探究心」を鍛える

前回note(↓)では「好奇心」の重要性をお伝えしましたが、実は「好奇心」だけでは興味関心を持続させたり、深掘りすることは難しいと私は考えています。 ざっくりとしたイメージをお伝えすると、以下に再掲する「好奇心」を鍛える3つのSTEPは、興味関心を「広げる」ためのアクションになります。 STEP 1:選り好みしない STEP 2:知識をかじる STEP 3:知ったかぶる ただし、前回「さまざまな領域の『テーマ』や知見に触れるために、大切なポイントは100%の習得を目指さ

「好奇心」の鍛え方

はじめに── なぜ今「好奇心」なのか?最近、好奇心の強さが「強み」になる時代が到来しつつあると感じています。 SNSでもECサイトでも、ユーザーの好みに合わせて「あなたが好きなものはこれですよね?」「この記事がおすすめです」「こんな音楽、動画はいかがですか?」と当たり前のようにパーソナライズされかコンテンツを提案されますよね。 これは便利で満足度が高い一方で、いわゆる「フィルターバブル」のなかに閉じこもり、好奇心がもたらす「新しい発見」のようなものが少なくなっていくこと

「位置情報ゲーム」の新たな可能性──『信長の野望 出陣』に学ぶ3つのポイント

私はもともとゲーム好きで、これまでもいろいろなソフトをプレイしてきましたが、マップボックス・ジャパンの代表就任以降、積極的にプレイするようになったのは「位置情報ゲーム」です。実際、いまでは日常的にスマートフォン4台を駆使して、さまざまな位置情報ゲームを楽しんでいます。 そして、そこに最近加わったのが、2023年8月31日にコーエーテクモゲームスさんからリリースされた『信長の野望 出陣』です。 PCゲーム時代から『信長の野望』をプレイしていた私にとっては待望の作品であり、マ

エンドユーザー7億人「デジタル白地図」のつくり方

新型コロナが5類感染症に移行し、2023年4月29日から入国時の「ワクチン証明書」等の提示が不要になったことで「人の移動」が再び活発になりつつあります。 円安ドル高基調も味方して、「安い日本」を目指すインバウンド需要がコロナ前水準に近づきつつあるという報道もあります。 そうした時代背景も加味したうえで、いま私が温めている仮説は「移動の価値が上昇する時代に突入する」というもの。 人が動き出す時代に「移動の価値」を考えるアフターコロナという文脈だけでなく、"生成AIの進化"

"位置情報SNS"はメタバースの入り口である──Z世代がリアルタイムで同時接続する理由

「位置情報サービス」ネイティブ世代の感覚Z世代のSNS=“TikTok”。私自身もそんな認識を持っていましたが、「位置情報」の活用という点でいえば、“Zenly(ゼンリー)”も見過ごすことはできません。 私が位置情報SNSユーザーに聞いて驚いたのは、「週末、どこに行ったの?」という質問に対して、「“Zenly”で確認しておいてよ」というツッコミがあり得るということ。 そして、“Zenly”には、いまどこにいるか知られたくないときに使用する「ゴーストモード」が搭載されていま

生成AIを「4象限」で理解する

3月は年度末ということもあり、いつも以上に慌ただしくしていましたが、その分、多くの方々と対話することができ、ディスカッションを通して気づいたことがいくつかあります。 その1つは、「生成AI」について。昨年末にChatGPTがローンチされて以来、以前の「メタバース」に関する盛り上がりとは比べものにならないくらい、「生成AI」に関する見解が、賛否両論含めて数多く発表されています。 生成AIについて、さまざまな議論を目にしたり耳にしたりするなかで、自分なりに2つのことを考えまし

GPT-4で敏腕編集者になりきり、第二の故郷「越後湯沢」の魅力を考えてみた

前回、「『生成AI』は『検索』を代替しない」と題して、生成AIの可能性、キーワード検索との違いなどについてまとめました。 今回は、米OpenAIが次世代の大規模自然言語モデル「GPT-4」を公開した、ということで、さっそく生成AIと相性のよさそうな旅行・観光分野への活用法を、実際に使ってみることで考えていきたいと思います。 対象エリアは「越後湯沢」。 個人的な話になりますが、越後湯沢はこれまでも何回も訪れた場所であり、第二の故郷といえるほど、愛着のある土地です。 今回

「生成AI」は「検索」を代替しない──地図とGenerative AIの未来を考えてみた

前回は「メタバースとAIの先にある世界」という切り口で、AIが得意なこと、人間が得意なことを考えました。今回は、昨年末から話題を呼んでいる「ChatGPT」がもたらす「地図の未来」について、あれこれ想像してみたいと思います。 そもそも、「ChatGPTとは何か」について、せっかくなので、ChatGPT(AI=機械)に「ChatGPTについて教えてください」と質問してみました。 簡潔でわかりやすい回答ですね。ちなみに、下記が(人が書いた)ウィキペディアの内容です。 2カ月

メタバースとAIの先にある世界──2023年のスローガン「100C2」

2022年9月に発売され、発売後3日で「345万本突破」という驚異のスピードでユーザーを獲得している『スプラトゥーン3』(以下、「スプラ」)。遅ればせながら年末年始にプレイしたところ、その動きの速さ、おもしろさに感動して、「高田さん、ずっとスプラの話していますね」と会社で言われるくらい、スタッフにも熱く語ってしまっています。 ゲームのおもしろさはもちろんですが、私が「なるほど」と思ったのは、そのスピード感。プレイしているときは、脳が高速回転している感覚があり、ゲーム後は現実

2023年を占うキーワード「ロング・ソーシャル・ディスタンシング」 ──私たちが手にしつつある「新しい距離感」を考える

コロナ禍になって、まもなく丸3年を迎えようとしています。 世界中で度重なるロックダウンが行なわれ、ここ日本でも、人流抑制、ソーシャル・ディスタンス、三密といった言葉が日常的に使われる中、感染症対策と社会・経済活動の両立への模索が続いています。 来年2023年、私たちはどのように新しい日常を過ごしていくのでしょうか? 感染症との戦いの終わりを予測するのは難しいことを承知のうえで、私なりに予測してみたいと思います。 まず、「人流」について参考になる情報をいくつかご紹介しま

自動運転の現在と未来──茨城県境町を走る「自動運転バス」運営"BOLDLY"のCEO・CTOに聞く

今回のnoteでは、茨城県境町で、自治体として国内初となる自動運転バスの定期運行を始めるなど自動運転技術を社会実装するBOLDLY株式会社の代表取締役社長 兼CEOの佐治友基さん、CTOの須山温人さんをゲストにお招きし、三人で話した内容を記事にしました。これからの「自動運転」と「地図」をテーマとした話のなかに、未来へのヒントがあると思います! (高田徹) コンセプトは「アップデートモビリティ」高田:佐治さん、須山さん、よろしくお願いします! お二人とも今日はどちらにいらっし

なぜ、山手線は丸く描かれるのか──ゼンリンミュージアムを見学して感じた「地図の3つの役割」

マップボックス・ジャパンの代表に就任して以来、密かに感じていたのは、「地図の歴史を知らずんば、業界人にあらず!」ということ。 そのため、1日も早く一人前の地図屋になるべく、つくばの国土地理院さんにお邪魔したり、地図専門書店に足を運んだり、最近は、ゼンリンさん、ジオテクノロジーズさんに伺って、地図づくりの現場を拝見する機会をいただいたりしています。 そして、先日、いよいよ本丸ともいえる、「歴史を映し出す地図の博物館『ゼンリンミュージアム』」に行くことができました。 「ゼン

『地球の歩き方』に学ぶ編集価値と「UGC」の新たな可能性

『ガイアの夜明け』(テレビ東京系)の「崖っぷちサバイバル!~大変貌で逆転~」を、みなさんはご覧になられましたでしょうか? とくに私の印象に残ったのは『地球の歩き方』編集部の取り組みです。 かいつまんでお伝えすると、 コロナで海外ガイドブック『地球の歩き方』の売上が激減(9割減)、宮田崇編集長曰く「創業以来の危機」を迎えることに 学研グループへの事業譲渡が決定するなか、東京五輪に向けて、初の「東京」版を発行するも、無観客開催が決定。インバウンド需要が消滅…… しかし、