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ムーンリバーを聴きながら

小さかった女は友人の友人の店だった。変な名前だと思った。店はこぢんまりとして、いい雰囲気で、豪華できらびやかなものは一つも無いけど、品を感じる。

小さかった女で働く2人の女が、ほとんど手作りで店内を作っている。1ヶ月や2ヶ月行かないと、レイアウトが平気で変わっている。いつも新しいレイアウトが、これまででいちばん良い気がしている。

私はまずアマレットジンジャーを頼む。萌ちゃんと私はなぜかアマレットジンジャーを好んで頼む。秦くんと墨谷さんは大体生ビールを頼んでいる。ワイン会に呼ばれた日もあったっけ。

カレーを頼むとキャベツの酢漬けが一緒に出てくる。欲張っていくらでもカレー皿に盛って食べる。

彼氏が出来たら報告して、別れてまた報告して、あれやこれやと、なんでも話してしまう。男子禁制ではないのでご安心を。

嶽本野ばらのミシンはここで初めて読んだ。話の展開が、ええ!ってトコロもあったけど、それも含めて面白かった。私もいくつかの本をここに寄付した。寄付した本は見当たらず、誰かのものになったのか?

店内BGMに、ムーンリバーが流れてきた。夜の水面に揺れる月のイメージが浮かぶ。それは夜だけの特別な場所での特別な時間。まさにここで過ごす時間のことを表している。

店を出ると西小山の冷たい冬の空気。でもスパイスの匂いを全身にまとっているから、明日の仕事はうまくいきそうだと思った。ムーンリバーを聴きながら。


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