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日常に役立つLife Style Design 革編 No.03

2021/8/29(Sun)
引き続き「日常に役立つLife Style Design」 をお届けします。
このシリーズでは、エクササイズ的な内容としてファッションアイテムに
使われる素材(Fabric 、Material)を例に挙げ、お届けいたします。

人工レザー01

本日も、前回の革編 No.1の中でお伝えした製品に使われる素材について
問いかけた内容を、下から順に拾い上げながら、順次お伝えしています。
前回の文面の中から、今日は、下記の問いかけの中から、

問い
・本革は動物愛護の観点で、問題視されている事はご存知でしょうか?
・人工皮革を使用する方が環境に良いと言われているのは何故でしょう?
・現在流通している、多様な製品の原材料は、どんな物でありますか?
・その原材料はどれぐらいの量が使われ、天然素材、合成繊維、
 (人工革皮等も含む)は、どれぐらいの割合で使われていますか?
・本革=動物の皮を何故?人は使うようになったのでしょう?

現在流通している、多様な製品の原材料は、どんな物でありますか?

について、お伝えしていきます。
まずは、前回のおさらいから。下記の通り、素材は天然繊維と化学繊維に
別れます。その中から今日は、再生繊維についてお伝えします。特に、
国内の大手紡績・繊維メーカーが国内外で、環境問題に着目し、カーボン
ニュートラルを踏まえた、高級人工レザーについてお伝えしていきます。

日常に役立つLife Style Design 革編02_繊維種類


本来、天然繊維が環境に優しいという観点は、自然素材であるがゆえ、破棄した際、土に還り、循環される期間が短いという観点で捉えてきた事からも
環境に優しい素材と思われてきました。ただ、現代では、別の問題も複雑に絡んできています。先進国の少子高齢化とは相反し、途上国の人口増加や、先進国技術の移転、その他の要因もあり人が食す量が増加している事からも世界銀行の報告では「緊急対策が講じられなければ、世界の廃棄物は
2050年までに現在のレベルより70%増加する」という、報告が出ています。

そして、世界的な人口の増加、技術の発展により、本来の自然環境の循環、地域特性、季節に応じた食文化が壊れ、自然界、他の生物と共存してきた
人間が、自然界との循環を踏まえず、食す亊、採取する事に躍起になって
行った事で、食した後の動物の皮等も大量に排出され、特にコロナ禍では、
皮から革へと加工し、環境に配慮しながら生産する本物のタンナーがいる場所に移し、循環される事なく大量に破棄される問題も起こりました。

合成繊維04

そうした自然循環も踏まえた素材として創り出されてきたのが、化学繊維で
あり、再生繊維の領域となります。その中でも昨今では、2015年から、
大手紡績・繊維メーカーから出てきているのは、植物由来の天然繊維から
創り出された再生繊維です。そうした素材の中で、昨今で最も有名な領域が人工レザー(人工皮革)です。人工レザーが使われる用途はとても範囲が
広く、特に、日本の高度な再生繊維技術は、海外からも注目されています。
又、他の素材にはない、しなやかさと、復元性、柔軟性を備えている事から
複雑な立体構造である、高級車のバックシートにも、使用されています。

人工レザー02

そして、最新デバイスモデルのハイグレード版ではノートパソコンの外側を覆ってきたプラスチック素材を、高級人工レザーに移行し使用されています

人工レザー03

昨今では、明治以降、化学繊維大国であった日本らしい技術を活かし多様な
植物由来の再生繊維などを活用した、類似構造の繊維では、カーテン、カーペット、インテリア、椅子張り、寝具、下着などにも活用されています。

人工レザー04

こうしたお話しを聴くと、全て人工レザーや最先端の化学繊維を使用すれば
良いのでは?そう思われる方々が、多いかもしれません。ですが、人が最も
自然環境と密接しているのは、衣料や、住まい空間ではなく、食文化です。
人が食す亊は、生きる事の第一歩です。そのため、生きるため、食すための一次産業が密接に関係してきます。その際に、人が食すために採取した、
植物や動物の主用部分以外の廃棄が必ず起こります。そうした廃棄を出来る
だけ少なく、使う方法を模索し、人が纏う衣服を子の衣、オムツまで小さな
Sizeにまで、整え、破棄していきたのが江戸時代から続く、日本のもったいない文化であり、また、そうした文化が自然界との調和を齎します。

本革05

だからといって、最先端技術の素材を、無駄にいくらでも使用しても良い、また、自然界に還る天然素材だから破棄しても環境に優しい、リサイクル
技術が高い日本では、いくらでも安価な素材を使用し、安価な労働対価で
生産される製品を大量に消費しても良い。という考え方では、いつまで
たっても、この問題は解決しません。特に、コロナ禍でいっそう困窮して
いる日本で、安価な大量製品がさらに増えれば、国内の中小、小規模事業者は、意義ある日本製の高級素材を使用する事も出きず、富裕層のみに販売する余力もない、9割以上の中小、小規模事業者のいる日本は、世界からも取り残されていきます。

なぜなら?日本が産み出した、日本の価値ある素材や、資源を無駄に使用
しない職人技についても海外ブランドが発信し、取り入れているからです。
日本に本来あった、技術や考え方を海外ブランドが取り入れ、発信していく中で、日本は今頃になって次世代の方々に学ばせている状況です。その間、日本の高齢化した中小、小規模事業者の事業者が、未来を担う方々に、後、どれぐらいそうした最新素材も活用したデザインを、貴重な日本製品として送り出してあげる事が出来るでしょうか?

そうした事も全て踏まえ、衣・食・住に係る、全ての人と環境にとってより
良い、循環型社会とは?について、今後も、発信していけたら幸いです。

より詳しい内容で、世界的な情勢、背景も踏まえて伝えて下さる方の記事を
こちらからご案内させて頂きます。また、その方とも、とても懇意にされ、
日本の伝統技術者の方々について、知って頂ける機会を創出している方に
ついても、こちらでご紹介させて頂きます。出来れば、出逢える場所に伺い
ご縁を紡いでみて下さい。


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