読書感想『非属の才能』〜孤独の時間が才能を育てる〜

私は一人の時間が好きだ。誰にも気を遣うことなく自分の好きなように過ごせるから、一人でいる方がストレスが少ない。

学生時代は教室の中でグループがあった。
グループに属さない一人者は変人扱いされ、距離を置かれることが多かったように思うが、社会人になったら一人で行動していても変人扱いされることはないから、大人の方が生きやすいと思う。

山田玲司さんの『非属の才能』を先日読み終えたので、内容のまとめと感想を書いてみる。

この本のテーマは、「才能は非属、つまりどこにも属さないことで磨かれる。つまり、孤独が才能を育む。」ということだ。

周りに同調することがその人の才能を潰し、自信を奪う。だから、世間の常識とか親の言うこと、人の言うことは99%聞かなくてもいい。

同調の限界は100点満点である。これは、学校のテストと同じ仕組みだ。100点という一定の枠の中で人を評価しようとする仕組みである。しかし、そこには独自の才能は生まれ得ないし、ただ点数というものさしで人間の分類をしているに過ぎない。

成功を収めた歴史上の人物には、変わり者が多いと言われるし、松下幸之助や本田宗一郎は小卒である。学校に行かなくても成功することはできるし、むしろ学校の勉強を頑張らないほうが独自の才能を開花させられるのかもしれない、とさえ思う。

私は学校の勉強を頑張って受験も頑張った組だが、今思えばもっと自分の好きなことに時間を使っていたら良かったなあ、と後悔している。

勉強は勉強でいいのだけれど、自分が興味のあること、もっと知りたいと思う物事に対して知識を深めることができていたらな、と思う。

大人になると、大抵の人は仕事や家庭を持つ。それがスタンダードであり、常識であるというのが一般的な考え方だ。引きこもりや無職の人は、生きていく力に乏しいとされ、社会から弾かれやすい。だが、これは本当だろうか。

著者は、引きこもりにこそ非属の才能があるという。30、40代になっても実家に暮らし、仕事もせず引きこもりになった大人が社会問題となりつつあるが、彼らを作ったのはその親である。

親が自分の子供の存在を恥ずかしいと思うことほど、子供の自尊心を傷つける感情はないのではないか。世間体や常識から外れた子供は、世間様に出せない恥ずかしい子供だ、という感覚である。

世間は、普通と違う人には優しくない。普通の大人なら仕事をしているはずだとか、普通の大人なら結婚しているはずだとか、そういう普通を押し付けてくる人間が、非属の人たちの最大の敵である。でも、よく考えてみたら、あなたたちが言う普通って一体誰のことを指しているの?と思う。

太宰治の小説の中で「世間とはあなただ。」という表現があるが、この表現が私は好きだ。世間とは、詰まるところ親や教師や友達なのではないか。

世間に嫌われないためには何らかの集団に属することが一番だ。非属の人として生きていくには、勇気がいるのである。

しかし、失敗や世間の目を恐れて、自分のやりたいことを抑えていたのでは、一生かかっても心の平安は得られない。世間を恐れずに自分らしく生きていくことが、現代では最も難しいことなのかもしれない。

失敗や恥を恐れていてはいけない。

失敗は成功のもとで、新しく始めた物事の99.7%は失敗するものだから、数回の失敗でくよくよする必要は本来ないはずだ。

1日に5分、10分でもいいから、世間の目を気にせず自分の好きなことに打ち込む時間を作る。非属の才能を見つけるためには、孤独の時間が必要なのだ。

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