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マンション建替物語 解説編

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マンション建替物語/ブリリアタワー浜離宮の誕生物語は建替推進の過程の記録です。このマガジンは建替えに関係する法制度や仕組みの解説です。ブリリアタワー浜離宮の誕生物語と同様にマンシ… もっと読む
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記事一覧

マンション建替要件の緩和

マンション建替要件の緩和


1. マンション建替要件の緩和の内容

 今、国はマンション建替を促進するために建替要件の緩和を進めている。その内容は
① 総会決議において棄権票を反対票扱いにせず、権利者総数の分母より除外する。現在は棄権票は反対票と扱われている。
② 可決に必要な賛成票を4/5 (80%) から3/4 (75%) に緩和する。
③ 建替決議が可決されれば、建替は賃借人に立退を求める正当な事由になる。これまでは

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晴海フラッグの転売ヤー 

晴海フラッグの転売ヤー 

(マンション建替物語 番外編) 
1.竣工前物件の転売の流行のきっかけ

 最近パークタワー勝どきや晴海フラッグの物件が竣工前に売り出されていると言う記事を目にするようになった。(素人ゆえ単純に知らなかっただけの事かもしれないが)これまで、竣工前の転売は殆ど聞いた事がなく、転売は竣工後、部屋の引渡し後でなければ出来ないものと思っていた。一般の人はおそらく私と同様に考えていたのではなかろうか?竣工前

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マンション建替物語 番外編

マンション建替物語 番外編

タワーマンションの将来的価値と晴海フラッグ コロナ禍でも都心や東京湾岸地域のタワーマンションの売れ行きは好調で価格も下落予想に反し上昇を加速させている様である。なぜタワーマンションはこんなに人気があるのだろうか?その魅力について考えてみたが、
1)眺望 2)豊かな共用施設 3)利便性:都心からの距離、駅からの距離4)規模感 5)豪華さ 6)居住者のステータス
であろうか?しかし、2)ー6)は必ず

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マンション建替物語 番外編

マンション建替物語 番外編

マンション建替の動機と採算
1.初めに 
 
 私は多摩ニュータウンの一角、稲城市に住んでいます。ニュータウン地区にできた最初のマンションに1989年に住み始め、30年以上が経過しました。ニュータウンの稲城地区では旧住宅供給公団の所有地もほぼ完売し、漸く街が出来上がった状況です。しかし、最初に開発されたニュータウンの中心地である、永山、多摩センター地区では多くの公団住宅が築後40−50年が経過し

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マンション建替物語 番外編

マンション建替物語 番外編

マンションの建替の流れ マンションの建替は区分所有者の合意形成が障害となり困難な事業だと思われています。しかし、マンションが問題を抱え、建替がその問題を解決する最善の方法だとすれば、また、そのための建替提案が納得の行くものであれば、合意形成は十分可能だと思います。今回は、マンション建替の流れを説明します。少しでも建替を検討されている理事会の皆さんのお役に立てれば幸甚です。

1.マンション建替3手

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マンション建替物語 番外編

マンション建替物語 番外編

多摩ニュータウンの行方 昨年、2020年年初より、一時的に引越しが必要になり、近くのUR住宅をネットで探していた。夫婦二人で住む2dk程度の広さで探すと家賃は最低でも7万円はかかる。恐らく年間で百万円程度の出費になるだろう。それならと何気なく中古マンションの購入はどうだろうとネットで見てみると五百万円以下で売り出されている公団住宅も目についた。これなら、転居の期間にもよるが、賃貸よりも中古を買い、

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マンション建替物語 番外編

マンション建替物語 番外編

高齢単身者の不安1.最近のマンション建替事情

 最近はマンションの建替え関連のニュースをよく見るようになった。マンション管理組合、建替組合の理事長としてマンションの建替えに関与している人間としては嬉しいことである。この10年来の不動産市況の好調さがマンション建替えの促進に大きく貢献しているものと思われる。しかしながら、築40年以上の旧耐震マンションの数に比べれば、建替えの済んだマンション、進行中

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マンション建替物語 番外編

マンション建替物語 番外編

1.合意形成要件の緩和の影響

 2022年1月7日の日経新聞の記事にもあるが、政府はなかなか進まないマンションの建替を促進するために、マンション建替の合意形成に必要な賛成割合を従来の4/5から3/4に緩和する方向で検討をしている。私の経験から判断するとマンション建替決議はかなり容易になると思われる。賛成票を75%まで増やすことはそれほど困難ではなかったが、そこから80%以上へと増やすためには時間

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