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暮らしを紡ぐ

最近、小川糸さんのエッセイにハマっている。
今回読んだのは『洋食 小川』。糸さんのありのままの日常や海外での暮らしを綴ったエッセイだ。

糸さんのエッセイを読むようになったのは、以前図書館で借りた『針と糸』を読んだことがきっかけ。常識に囚われず、自分の心地良さを大切に日々の暮らしを丁寧に紡ぐ糸さんに心が奪われたのだ。


今回読んだエッセイでは、糸さんの価値観が伝わる印象的なひと言があった。

私が目指すのは、すき間。
〈中略〉
死ぬ時は、台所に鍋ひとつ、旅行鞄ひとつくらいが理想的だと思っている。

小川糸『洋食 小川』

糸さんは他のエッセイでも、いつでも旅に出られるように身軽でいたいと書かれていた。それだけ自分の人生において大切にしたいものがハッキリしているのは羨ましい。

糸さんでも、生きている中で逃げ出したいような辛いことがあったという。そんな時、糸さんを支えたのはウルグアイで大統領をつとめていたムヒカさんという方の言葉だ。この方の言葉は、私にも大きく刺さった。

『憎しみのうえに、善きものは決して築けない。ことなるものにも寛容であって初めて、人は幸せに生きることができるんだ。』

小川糸『洋食 小川』

本当に、その通りだと思う。誰もが相手を尊重することができれば、憎しみは生まれない。自分と違う考えであっても、広い心で受け入れ合えばみんな幸せに生きることができる。この言葉を知って、糸さんの核になっている価値観に触れられた気がした。

このエッセイには、糸さんが作った料理が沢山出てくる。自分のためや大切な人のために日々台所に立つ姿は、惚れ惚れしてしまう。出てくる料理もよだれが出そうなくらい美味しそう。(笑)

私は糸さんのように、心にゆとりを持ちながら毎日を楽しめているだろうか。そんなことを考えさせられる素敵なエッセイだった。

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